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置き畳のメリット・デメリットは?どんな時に使うと便利なの?

2023.05.01

近年、マンションや戸建て住宅ではフローリングの床が増えてきています。
中には和室だった部屋を改装してフローリングにしている住宅もあり、和室は減少傾向です。
一方で、新築住宅には純和風ではなくても和室を取り入れたいといった需要もあり、リビングの一角に小上がりの和室を作ったり、ちょっとした和を感じられるスペースを設けたり。
中にはモダンな畳を使ってオシャレな畳スペースを設けている家もあり、和室の需要も決して少なくはありません。

とは言え、フローリングしかない家に和室を作るにはコスト的にも難しいですよね?
そこで便利なのが絨毯の間隔で設置できる置き畳。
リビングの一角に畳コーナーを作ることが多いため、リビング畳とも呼ばれます。
今回は、この置き畳、別名リビング畳について、メリットやデメリット、設置する際の注意点などをご紹介していきます。

置き畳のとは


置き畳とは、リビングなどのフローリングの部屋の一角に置きたいスペースの分だけ敷く畳のことです。
別名リビング畳、システム畳、ユニット畳といった呼ばれ方もされています。

一般的な畳に比べてサイズが薄く、サイズも小さいため持ち運び安く、設置しやすいサイズになっています。
ちなみに、琉球畳のことを置き畳と呼ぶ方もいらっしゃいますが、厳密には違うものです。

●置き畳の特徴

置き畳のメリット

置き畳のメリットは下記の通り

畳の部屋と同様、防音、吸音効果がある上、クッション性にも優れているので子供が走り回ったり、大きな声を出したりする場合はフローリングの部屋に比べて音の心配やケガのリスクを回避できます。
さらに、フローリングの床に比べて断熱性に優れており、冬に温かく夏に涼しい空間を確保できます。
い草の置き畳であれば調湿効果もあり、乾燥時には湿度を上げ、じめじめしている時は湿度を吸収してくれる効果もあります。

ここまでは畳のメリットなので、和室でも同様のことが言えます。
置き畳は、上記に加えて移動しやすく手入れが簡単なところが大きなポイント。

フローリングの部屋に簡単に和の雰囲気を感じられる空間を作り出せる点にあります。
リフォームして和室を作ることを考えると大幅にリーズナブルに和の空間を作ることができる上、自分でやれば設置費用もかかりません。
重さも2~3kg程度と軽く、女性でも簡単に持ち運べるため、設置や模様替え、掃除などが簡単にできる点も大きなメリットです。
また、裏面に滑り止め加工がされているため、走り回っても畳が滑ってズレてしまうリスクも軽減されています。

置き畳のデメリット

置き畳のデメリットは下記の通り

置き畳をクッション材と考えた時、100円ショップで購入できるクッションマットなどに比べるとコスパは下がります。
また、天然のい草を使った置き畳の場合、湿度を吸収しやすいため梅雨時や雨が続く季節には湿度をため込み過ぎてしまい、カビやダニが発生する可能性が高まります。
飲物をこぼした時に浸透してしまうため、フローリングの床やクッションマットに比べて掃除がしにくく、カビの原因となってしまうことがあります。
さらに、い草は傷がつきやすいため、子どもがおもちゃを使って遊んだりする場合にも不向きです。

カビ、ダニの問題は和紙、樹脂系の畳を選ぶことである程度解消できますが、耐久性についてはい草よりも高いというだけでフローリングの床ほどの強度があるわけではありません。そのため、ペットが爪を立てたりした場合、少しずつ傷ついてしまう可能性があるので注意が必要です。
さらに、畳の凹凸や隙間はペットのにおいを吸収したり、毛が挟まってしまったりするため、フローリングに比べて使い勝手の悪さがあります。

置き畳の選び方


置き畳の種類には「い草」「和紙」「樹脂」を使ったものがあります。
い草は言わずと知れた畳の素材。質感が良く、畳独特の香りがあり、純和風の空間にピッタリです。
和紙はい草に比べて耐久性が高く、防水性も高いため、防ダニ、防カビに優れています。カラーの種類が豊富な点もメリットです。
樹脂は化学製品で作られた畳で、和紙と同様、耐久性や防水性が高く、防ダニ・防カビに優れています。カラーの種類も豊富です。

※それぞれの特徴について詳しく知りたい方は、畳の素材の記事をご確認ください。

畳のお手入れの基本。正しい掃除方法を覚えて畳を長持ちさせましょう

和紙と樹脂の違いはそれほどありませんが、和紙に比べて樹脂の方が耐久性が高く、樹脂に比べて和紙の方がい草に近い質感が得られます。
もし、子どもが生活する空間として、クッションマットの役割も持たせつつ、和室を作りたいという場合は耐久性の低いい草の置き畳はあまり向いていません。
最悪の場合、買ったその日におもちゃで傷をつけてしまう可能性もあるので、和紙や樹脂系の素材を選ぶことをおすすめします。

一方で、大人しかおらず、リフォームまではするつもりがないけれど、家に和の雰囲気を感じられる空間がほしいといった要望がある場合、い草の置き畳を使ってリビングにちょっとした和のスペースを設けることで、い草の香りが漂う素敵なリビングを作ることも可能です。

置き畳は通常の畳に比べて段差が少ないため設置してもつまずきにくく、小さな子どもやお年寄りと一緒に暮らしている場合でも安心です。
和紙、樹脂系の畳であればカラーバリエーションも豊富にあるため、部屋のデザインやインテリアに合わせて色や柄、縁のデザインなども選んでいきましょう。

置き畳を設置する際の注意点

置き畳を設置する際の注意点は大きく分けると下記の4点です。

部屋の雰囲気に合っているか

置き畳自体は購入すれば簡単に設置可能ですが必ずしも雰囲気が合うとは限りません。
例えば、モダンな雰囲気のリビングに急にピンクの置き畳が敷かれると違和感が出てしまうかもしれません。
豊富にあるカラーバリエーションの中から自分の部屋の雰囲気に合ったものを選ぶように注意しましょう。

置く場所に問題はないか

また、設置したは良いけれど部屋の動線になっていてすぐに汚れてしまう場所だったりする場合、手入れや掃除が大変になります。
さらに置いた場所が掃除しにくい場所だった場合、掃除が面倒だと汚れる一方になってしまします。
そのため、置き畳を設置する場所が今後の生活に悪影響を及ぼさないかを考えた上で設置しましょう。

自動で部屋を掃除してくれる「お掃除ロボット」を使っている場合は、さらに注意が必要です。
置き畳は通常の畳に比べて薄いですが、多少の段差はできます。
お掃除ロボットが登れるレベルの段差かどうかのチェックが必要です。
また、お掃除ロボットは畳を傷つけてしまう可能性があるため、畳の掃除は推奨されていません。
そのため、置き畳のスペースだけは掃除をさせないといった選択肢も含めて検討の必要があります。

湿度ためやすくなっていないか

湿度がたまりやすい環境にならないか、換気はしやすいかといったことも考慮しましょう。
特にい草の畳を設置する場合はしっかり換気ができ、湿度を貯め込まないようにしておかないとカビやダニが発生してしまう可能性がアップします。
和紙、樹脂の畳はカビやダニが発生するリスクをある程度軽減できますが、畳の上にカーペットを敷きっぱなしで放置するなどした場合、絶対にカビが生えないという保証もないため、換気については設置する前から注意しておく必要があります。

また、マンションをはじめ、機密性や断熱性の高い住宅は湿度がこもりやすく、締め切ったまま生活していると畳が湿気を溜め込んでしまう可能性があります。カビやダニの発生だけでなく、畳自体が傷みやすくなってしまう可能性もあるため、定期的な換気を心がけましょう。

フローリングの素材を傷つけないか

置き畳には滑り止めがついているため、畳の上を歩いても簡単に畳がずれないようになっています。
しかし、フローリングの材質によっては滑り止めがうまく機能せず、畳が滑ってしまう可能性もあります。
例えば、凸凹している床材は滑り止めの設置面積が少なく、簡単に滑ってしまうことがあります。
床がずれると当然、転倒するリスクが高まるため非常に危険なので、滑り止めが効きそうな床材かどうかを見極めておく必要があります。

また、無垢材などは置き畳の角が擦れて傷ついてしまう可能性もあります。
置き畳の場所を移動させて模様替えをしようとした時、畳をはがすと床が傷だらけになっていたとなっては大変です。
置き畳を設置する場合はあらかじめ床材との相性をチェックしておくことをおすすめします。

置き畳の交換時期


置き畳は基本的に敷いた畳の表面が傷ついてくると交換時期になります。
一般的にはい草の畳であれば5年程度で取り替えるのがおすすめです。
もちろん、和紙や樹脂を使った畳は耐久性も高く、い草の畳に比べて寿命が長くなることも多いです。
永久的に使えるものではありませんが、表面が特に傷ついていなければ、しばらく置いておいても問題はありません。
また、置き畳は基本的に使い捨てですが、製品によっては畳表を交換できるものもあります。
この場合買い換えるよりも安価に交換ができるので、購入前にチェックしておきましょう。

置き畳の相談は川田畳製作所へ

リビングに市販の畳を敷く場合、あまり畳屋さんに相談をされる方は多くありません。
ただ、決められたスペースに収まるように置き畳を作りたいという場合は市販のものでは対応できないため、専門店が対応します。
また、「畳表が交換できる置き畳を作ってほしい」「傷ついた畳表を交換してほしい」といったご要望も、まずはご相談ください。
畳のプロがお客様のご要望に合わせた置き畳をご提案致します。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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