川田畳製作所

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畳の素材はい草だけではない。現代畳も含め、材料の特徴を紹介

2023.03.01

畳といえばい草というイメージがありますが、実はい草を使っているのは畳表と呼ばれる部分のみです。
しかも、最近はい草を使用していない畳も多く、使用される素材にも変化が見られます。

そこで、今回は畳を選ぶ基準として、使用されている素材やその特徴についてご紹介します。
ぜひ、畳選びの参考にしてください。

畳表の素材


近年、畳表に使用されている素材は主に「い草」「樹脂」「和紙」の3種類です。
い草は古来より畳表に使用されている素材で、歩く時の弾力や質感が良く、香りにはリラックス効果があるなど、さまざまな効果があります。
樹脂や和紙は質感をい草に近づけつつ、い草の弱点でもある耐久性の低さやダニ、カビの発生を抑えた素材です。
中にはある程度の調湿効果を持っているものもあり、開発企業によってさまざまな素材が開発されています。

い草

従来の畳の原材料といえばい草です。
湿度が高い時は空気中の水分を吸収し、乾燥している時は水分を放出する調湿効果に加え、消臭、脱臭効果があります。
さらに、い草の香りにはリラックス効果もあると言われています。
い草は植物なので、樹脂や和紙には出せない天然素材ならではの質感や香りがある点が特徴です。

しかし、メリットばかりではなく、デメリットも多くあります。
天然素材のため湿度に弱く、吸湿効果が高いこともあって湿度を溜め込みすぎてしまい、カビやダニが発生しやすい点。
そして、時間の経過と共に色が緑色から変色してしまう点や、樹脂・和紙の畳に比べて耐久性が低く、傷つきやすい点などが挙げられます。

和紙


近年の畳素材として用いられているのが和紙。
といっても、そのまま使用するのではなく、こよりのように巻いてストロー状にすることでい草と同じような質感を実現させています。
また、和紙は水に弱く強度もそれほど強くないため、樹脂でコーティングし、強度と耐水性をアップさせています。
これにより、い草に比べて高い耐久性とカビ・ダニが発生しにくい特徴があります。

さらに、紙なので着色がしやすく、新品の畳のような緑だけでなく、青や茶色、黒などさまざまなカラーバリエーションを実現。
純和風の雰囲気が漂う和室だけでなく、洋室に併設させる場合でもモダンな雰囲気を演出できるためレイアウトしやすい点もメリットです。
い草のような大きな変色もないため、新築住宅や賃貸住宅の和室など、さまざまな場所に活用されています。

樹脂


主にポリプロピレンという素材を使用しているのが樹脂の畳です。
ストロー状にすることでい草と同じような質感を実現させており、耐久性や耐水性も高い点が特徴です。
近年では、ペットが爪を立てても傷つきにくい畳も開発されています。
飲み物をこぼしてもすぐに浸透していかないので、宴会場や脱衣所といった水気の多い場所や人が多く利用する公共の場所などにも使用できます。

畳表の選び方

畳表はい草、和紙、樹脂の3種類があり、質感はい草>和紙>樹脂、強度は樹脂>和紙>い草の順に高くなっています。
畳を選ぶ際には、どの素材にするかをしっかりと吟味して決めていきましょう。

部屋の雰囲気に合わせる

まず重要となってくるのが部屋の雰囲気。
個室にするのか、フローリングの部屋に併設させるのかによっても純和風にするのか、モダンな雰囲気にするのかが変わってきます。
伝統的な和の雰囲気にしたい場合はい草を使った縁付きの畳がベストですが、子供の遊び場所としても活用したい場合は和紙や樹脂など、耐久性の高い素材をする方がおすすめです。

耐久性や機能性を求めたい

和室でペットと過ごしたい、カビやダニの発生を抑えたいなど、畳に機能性を求める場合はい草よりも和紙や樹脂系の畳の方がおすすめ。
また、い草の畳に比べて和紙や樹脂の畳は耐用年数も長いため、畳の交換時期がい草に比べて長くなります。
その分価格もやや高い場合が多いですが、長い目で見ると耐久性、機能性に加え、出費も抑えられる点もメリットです。

逆に、こまめに手入れは必要になりますが、い草ならではの質感や香りを楽しみたいという場合はい草の畳がおすすめ。
和室はあるだけで日本人の琴線に触れる心落ち着く空間。
さらに、い草を使った畳を使用することで、和紙や樹脂では実現できない本物の質感が、日々の生活をより一層穏やかなものにしてくれるはずです。

デザインやカラー

部屋の雰囲気に合わせて青や黒の色にしたい 場合は、着色ができる和紙や樹脂系の畳でなければ選べません。
また、新品の畳のような鮮やかな緑色をキープし、何年経っても変色せず同じ色味をキープしておきたいという場合も和紙や樹脂の畳がおすすめ。
逆に、天然素材ならではの色の変化はい草の特徴でもあるので、その変化を求める場合はい草を選ぶのがおすすめ。
まずはどんな部屋にしたいかを決めた上で、雰囲気に合わせて素材をチョイスしましょう。

畳縁の素材


畳には基本的に畳縁が付いていますが、必ずしもついていなければ機能しないわけではありません。
そのため、近年、畳に縁をつけない琉球畳のような畳が人気です。
縁をつける場合も、シンプルな無地縁と、柄の入った柄縁の2種類があるので、好みに合わせてチョイスしましょう。

無地縁

無地縁とは、その名の通り、柄の入っていない畳縁のことです。
古くは茶色や黒しかありませんでしたが、最近では青や緑、パステルカラーやラメの入ったキラキラしたものなど、多種多様な畳縁が作られています。
和紙や樹脂を使用した畳

柄縁

よく畳に使用されている亀甲柄や足代柄だけでなく、ペットの畳に合わせたアニマル柄や花柄、市松模様など、さまざまな柄があります。
伝統的な亀甲柄や足代柄は人気ですが、新築住宅では子供が喜ぶ柄もよく選ばれています。

畳縁の選び方

畳縁はついていなければならないものではないため、あまり効果が実感できず付けない方も少なくありません。
しかし、畳縁には、畳を敷き詰めた際に発生する隙間を埋める効果があり、畳の隙間に入り込む汚れを軽減できるメリットがあります。
その分、畳表と畳縁の間に髪の毛などのこまかいゴミが挟まってしまうことがあるので、日々の掃除できっちり取り除く必要があります。

畳縁をつける、つけないはある程度好みによりますし、畳縁の柄についても、無地のものから定番柄、モダン柄まで幅広くあるので、「部屋の雰囲気に合わせたい」「子どもの喜ぶ柄を使いたい」など、作りたい部屋のイメージや今後の生活に合わせてチョイスするのがおすすめです。

畳床


畳は、畳表と、それを支える畳床に分かれます。
畳といえば分厚いものを連想する方も多いはずですが、畳表はいわゆるゴザのようなもの。
分厚い部分のほとんどが畳床ということになります。
畳床も、今と昔では使用している素材が大きく異なっているので、解説していきます。

藁床


まず、昔ながらの畳として、い草の畳の下に敷かれていたのが藁床と呼ばれる、藁を使ったもの。
柔らかい畳の質感は、その多くが畳表で編まれたい草の効果によるものですが、それを支えている藁床も歩いた時の弾力や足触りの感触に一役買っています。
稲を使った藁床は吸湿・吸音効果があり、い草畳のさまざまなメリットは、藁床とセットでもたらされているものも多くあります。
例えば、フローリングに比べて断熱性が高く、冬に暖かく夏に涼しいといった特徴も藁床ならではのメリットです。

ただし、藁は植物のため、い草と同様、ダニの発生源になりやすい素材です。
畳表から畳床まで潜ってしまったダニは簡単には駆除できません。その上、ジメジメしていて一定の温度を保ってくれるため、ダニにとっては快適な条件がそろってしまっています。
大量発生してしまうと簡単には駆除できないため、藁床を使う場合は湿度に注意することと、こまめに掃除をして少しでもダニに快適な条件を与えないようにすることがポイントです。

ワラサンドイッチ(スタイロ床)


ワラサンド畳床は、藁と藁の間にポリスチレンフォームやエコボードを挟み込んだ畳床です。
藁だけの畳床に比べてダニやカビが発生しにくく、メンテナンスしやすい上、軽いのがメリット。
「インシュレーションボードやスタイロフォームなど、建材を使った床は硬すぎる。でも、藁の畳床はコスト的にも高いし、ダニやカビの発生が気になる」という方にはピッタリ。
ポリスチレンフォームには断熱効果も期待できます。

建材床


建材床は今、主流となっている畳床です。
インシュレーションボードとスタイロフォームを組み合わせることで藁床に近い弾力性を実現させつつ、断熱性、吸放湿性、吸音性に優れているという特性を持っています。
畳床以外にも天井や壁などに使われることも多く、現代の住宅に欠かせない素材のひとつとなっています。

原材料に木材やポリエチレン樹脂を使用しているため、ややカビが発生しやすいという弱点があるものの、藁床に比べるとカビに強い上、一枚の板なのでダニが入り込む隙間もありません。
その上、建材を組み合わせて作っているため加工がしやすく、3cmから6cmまでミリ単位での厚さ調整が可能。
防虫や耐久性にも優れた素材は畳床に非常にマッチしていて、藁床に代わる素材として多く用いられています。

畳床の選び方

畳を張り替える場合、和紙畳を選んだ場合はインシュレーションボードの畳床、樹脂系の畳を選んだ場合はスタイロフォームの畳床といったように、畳表と畳床の素材がセットになっている場合が多いです。
そのため、畳表の素材も畳床の素材も決めたい場合は、まずは畳屋さんに相談してみましょう。

畳の素材を相談するなら畳屋さんへ

最近では畳にはさまざまな素材が使用されています。
大きく分けると「い草」「和紙」「樹脂」となりますが、い草の畳でも産地によって質感が異なりますし、樹脂系の畳も畳メーカーによって使用している原料が異なったりと、多種多様な畳があります。
どれもメリット・デメリットがあるため、何にこだわりたいか、どういうマイホーム生活を想定しているかによってもおすすめする素材が異なってきます。
そのため、畳にこだわりたいという方は、まずは畳屋さんに相談しましょう。
最新の畳情報とお客様のご要望をマッチさせ、生活やこだわりポイントに合った畳を提供致します。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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