湿度の高い梅雨時などをはじめ、ジメジメした湿気が気になる季節は油断しているといろいろなものにカビが生えてしまいがち。
「畳にカビが生えてしまった」
という方も少なくないのではないでしょうか。
さらに、「カビをなんとかしようとしたら色が変色してしまった」といった方もいらっしゃるかもしれません。
畳にカビが生えてしまうとせっかくい草の香りが漂っていた和室にカビ臭さが混ざってしまい、リラックスできなくなってしまいます。
さらに、健康にも良くないのではないかとか、いろいろ気になってしまいますよね。
そこで、今回は畳にカビが生えてしまわないための予防策やカビが生えてしまった時の対応策などを解説します。
畳にカビが生えるのは、ジメジメしていることだけが原因ではありません。
もちろん、湿度が高いことも理由のひとつに挙げられますが、それだけでカビが生えるとなると水回りはカビだらけになってしまいます。
それ以外にも室内の温度やカビの栄養分となるものなど、大きく分けると5つの原因があると言われていて、条件が揃った時に初めてカビが生えてきます。
具体的な原因は下記の5つです。
カビは室温が20〜30度時に生えやすいと言われています。
どんなに湿度が高くてもサウナのように暑い場所や10度前後のひんやりとした環境では生えにくいと言われています。
そのため、気温が20度を超える上、雨の日が多い梅雨時の6月〜7月は最もカビが生えやすい時期と言えます。
ただし、気温が低いからといってカビが発生しないわけではありません。
実際に気温5度くらいでもカビが発生した事例はあるので注意が必要です。
カビの活動が活発になり始めるのは湿度60%以上からと言われています。
気象庁がまとめた各月ごとの平均湿度を見ると、1年を通して60%を超えている月は多く、6月・7月は70%を超えています。
さらに、年によっては8月〜10月も比較的湿度が高く、70%〜75%に達している日も多いため決して油断はできません。
そのため、夏〜秋にかけては特に、湿気対策には気を配るようにしましょう。
カビの胞子は普段から大気中に存在しており、湿度や温度などの条件がそろうと良さそうな物体に付着し、姿を現します。
そして、カビは植物のため呼吸をしており、大気中に酸素があることも繁殖する条件に含まれています。
とは言え、室内を無酸素状態にすることはできないため、原則他の条件が揃わないように注意しましょう。
また、空気が澱んでいるとカビが繁殖しやすい環境になってしまうため、定期的に換気することをおすすめします。
カビは菌類なので、たんぱく質や炭水化物を好みます。
つまり、ご飯の食べこぼしや体の皮脂なども養分となってしまいます。
定期的な掃除が必要と言われているのは、カビの餌をできる限り取り除き、清潔な環境を保つためです。
最後に素材にい草を使っていることもカビの繁殖を招きやすいと言われています。
というのも、い草は湿度が高い時には室内の水分を吸収し、乾燥してくると溜め込んだ水分を放ち、湿度を上げてくれる「調湿効果」を持っています。
しかし、この特徴が原因となり、梅雨時のように湿度の高い状態が続く場合、水分を放出することなく溜め込み続けてしまうため、い草が除湿剤のように水分を吸収し続けてしまいます。
い草自体が湿っているにもかかわらず、さらに自ら水分を取り込もうとするため、カビが生えやすくなってしまいます。
では、実際にカビが生えるなら種類はどうなっているのでしょうか。
実は、畳に生えるカビは1種類だけではありません。
よく見かける種類は「黒カビ」ですが、それ以外のカビについてもチェックしておきましょう。
パンやお餅など、食品などにも発生する青カビ。
青というよりは緑がかった色をしており、学術的にはアオカビ・ペニシウム属という種類になっています。
青カビはカビが発生して間もない状態なので、まだまだ対応しやすい軽微な被害と言えます。
とは言え、特有のカビ臭さを放つほか、体内に入ると体調を崩してしまう可能性があるため早めの対処が必要です。
白カビは青カビの仲間で、こちらも発生したての比較的軽度な状態です。
畳だけでなく木材や壁などにも発生することがあり、締め切った和室の柱や窓枠に発生することがあります。
白カビの種類の中には麹カビという種類もあり、味噌や醤油の発酵、カマンベールチーズの熟成にも活躍します。
しかし、青カビ同様体内に入ると体調を崩してしまうこともあるため対処が必要です。
カビの中で最も頑固でやっかいなのが黒カビです。
学術的にはクロカビ・クラドスポリムという種類で、実は空気中に存在するカビの中で最も量が多いと言われています。
お風呂やトイレ、エアコンの中など、水気の多いところに多く発生し、大掃除の時などによく掃除の手を煩わされるため、厄介なカビとして認識している方も多いでしょう。
水気の多い場所に繁殖するイメージが強いですが、水気を多く吸った畳も例外ではありません。
そして、放置し続けると健康に被害を及ぼす可能性もあるため見かけたら除去する必要があります。
黒カビに比べて比較的軽度で、カビの初期症状とも言える青カビや白カビは、「放置しておいてもまだ大丈夫」と思われる方もいらっしゃるようです。
しかし、軽微なカビであっても決して油断してはいけません。
というのも、青カビや白カビは繁殖力が強く、湿気がそれほど多くない場所でも成長が可能です。
室内で、湿気が溜まりやすく栄養がある程度取れる場所であれば、冬場でも繁殖が可能です。
さらに、菌糸と呼ばれるカビの本体は透明で気づきにくいものが多く、胞子も肉眼では見えないため、増えれば増えるほど室内をカビの菌糸や胞子が蔓延していることになります。
最悪の場合、体内に入り込んだカビの影響で体調を崩してしまったり、家具や衣服などに付着してどんどん室内がカビに侵食されてしまったりする可能性も否定できません、
「まだまだ初期症状だからしばらく放置しても大丈夫だろう」
と油断していると後々大変なことになってしまう可能性があるため、見かけたら早めに対処するよう心がけましょう。
では、実際にカビが生えてしまった時、どのように除去していけば良いのでしょうか。
まずは、掃除に入る前にしっかりと準備をしておく必要があります。
まずはカビ取りに必要な道具を準備しましょう。
準備する道具は下記の通りです。
道具が準備できたら次はいよいよお掃除開始。
カビをしっかりと取り除くにあたって準備をしておくことはたったの1点。
部屋の「換気」をしっかりすること。
マスクと手袋を装着し、窓を開けてしっかり空気が流れるようにします。
天気の良い日を狙ってお掃除をするのがおすすめです。
もし、天気が悪い日にしなければならない場合は除湿機などで湿度を下げてから行うようにしましょう。
部屋の換気をしたらいよいよお掃除開始です。
本格的な掃除に入る前に、乾いた畳の状態で歯ブラシを使ってカビをしっかり掻き出します。
歯ブラシを使い、畳の目に沿って撫でるように優しくブラシを動かすことでカビの胞子を舞い上げないように取り除いていきます。
ある程度掻き出すことができたら雑巾やウエスなどをつかって乾拭きします。
ゴシゴシこするとせっかく掻き出したカビがまた畳の中に入ってしまうため、掻き出したカビを絡めとるようにイメージしながら進めていきましょう。
青カビ・白カビの掃除をする場合は以下の手順がおすすめ。
カビ掃除で使用するエタノールは、濃度70%〜80%のものがおすすめです。
黒カビが発生している場合は以下の手順がおすすめ。
カビ掃除で使用するエタノールは、濃度70%〜80%のものがおすすめです。
重曹やお酢は漂白効果があるため畳が変色してしまいます。広範囲にかけすぎないことと、使用後はしっかり拭き取ることを心がけましょう。
畳のカビを無事に除去できたと思っていても、部屋の中に嫌なカビ臭さが残っていることがあります。
そういう時は、重曹ペーストを使った方法がおすすめです。
畳にカビが生えてしまうと、綺麗に取り切るのは至難の業。
表面はキレイになったとしてもカビの成分が内部に残っていたり、カビがあった部分だけ畳が変色してしまったりする可能性も高く、なかなかうまくいかないことの方が多いです。
失敗して後悔するくらいならプロの掃除屋さんにおまかせするのも一つの方法。
畳だけでなく、水回りや換気ダクトなど、気になる部分もまとめてキレイにしてもらいましょう。
畳のカビ対策として、最も有効なのが「定期的的な掃除」です。
特に、換気をこまめに行い、部屋の湿度を上げないことは特に重要。
ただし、間違った掃除方法を取り入れるとカビが生えやすくなってしまうこともあります。
そのため、やってはいけない方法をしっかりと覚えておくようにしましょう。
畳を雑巾で水拭きするのはやってはいけない掃除方法です。
カビ取りなどでも見つけると濡れ雑巾でゴシゴシこすってしまいがちですが、やってしまうと水気が畳に移るため、い草が水分を吸収してカビが生えやすい状態になってしまいます。
カビを拭き取る場合は必ず乾拭き雑巾、もしくはエタノールを使用しましょう。
普段の掃除で掃除機を使用するのはOKですが、カビが生えた畳を掃除機で吸うのはNGです。
掃除機でカビを吸うと、排気口から吸ったカビが空気中に放出され、せっかく取ったカビを部屋中にばら撒くことになってしまいます。
さらに、カビを吸い込んで体調不良を起こしてしまう可能性もあるため、カビを取る際は乾拭き雑巾を使うようにしましょう。
また「掃除機がダメならコロコロなら良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、コロコロの粘着力が強いため、畳のささくれにくっついてい草を痛めてしまう可能性があります。
カビを拭き取る際、目に沿って雑巾を走らせたものの、細かい部分が取りきれていないと感じた場合、上からポンポン叩いてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、これは畳の掃除においては逆効果。
カビを畳の奥へと押し込んでしまう掃除方法になります。
表面に付着しているカビを取り切るなら、乾いた布で優しく拭くのがベストです。
畳の部屋を快適に使うためには、カビが繁殖しにくい環境を作ることが不可欠。
そして、カビが生えないようにするためには以下のことを心がけましょう。
畳の一番の天敵は湿気。
そのため、布団やカーペットなどを畳の上に敷いたままにしておくと、畳と布団の間に湿気が溜まり、カビが繁殖しやすい環境になります。
布団であれば毎日たたんで押し入れに入れるなど、畳の上で敷き続けないようにする必要があります。
カーペットなどの敷物は、和室には敷かないことをおすすめします。
布団と違ってずっと敷きっぱなしの状態が基本のカーペットや絨毯は畳との相性が悪く、敷きっぱなしにすることによって高確率でカビが繁殖してしまいます。
どうしても必要な場合は、ファーなどの小さい敷物を使い、定期的に洗濯したり天日干ししたりするなどして、できる限り湿気がたまらない環境を作るようにしましょう。
湿気の対策として最も単純で効果的なのが換気です。
窓を開けて換気をすることで部屋の湿度や温度を変化させられます。
和室とそれ以外の部屋の窓を開けて家全体の空気が流れるようにすればより効果的。
人のいない時でも和室でサーキュレーターや扇風機を回すなどして室内の空気を循環させるのも効果があります。
湿気の多い梅雨時などは、換気をしていても湿度が上がりやすい環境。
日々のメンテナンスが難しい場合は防湿シートの力を借りるのもおすすめです。
防湿シートは畳床と畳表の間に敷き込むため、今すぐに対応するとなると畳店にお願いする必要があります。
費用を少しでも抑えるなら、表替えや新調の際にまとめて対応してもらうのがおすすめ。
畳の上にカーペットや絨毯を敷く場合も、間に防湿シートを敷いておけばカビの発生を抑制できます。
防湿シートの中には防虫機能付きのものもあり、これならダニの繁殖も予防できて一石二鳥です。
梅雨時など、湿度が高い時期にはカビ対策として除湿剤や除湿機を使うのもおすすめ。
置いておくだけで湿気を吸収してくれますし、吸収した水の量が見えるため交換時期もひと目でわかります。
ただし、締め切った和室などであれば効果は高いですが、リビングに併設された広いスペースには不向きです。
水がいっぱいになると除湿力がなくなってしまうため、定期的に水を抜いてあげる必要がある点も注意が必要です。
さらに多機能で広範囲な除湿を望む場合、除湿機を使うのがおすすめ。
購入費用や電気代などのコストはかかるものの、除菌・消臭機能がついていたり、リビングに置いておくだけで畳のスペースも含めてすっきり快適な環境にしてくれたりと多くのメリットがあります。
除湿機を使う場合、機械のメンテナンスが定期的に発生します。
例えば、排水タンクに水が溜まったまま放置すると菌が繁殖してカビの原因になってしまう可能性があったり、汚れたフィルターをそのまま使い続けると効果が落ちてしまったりするので覚えておきましょう。
掃除はカビの繁殖とあまり関係ないと思われがちですが、ジメジメしていてカビの繁殖に適した環境だったとしても、餌となる埃や皮脂、垢、食べこぼしなどが全くない状態であればカビの発生はかなり抑えられます。
そのため、カビが好むものをこまめな掃除によって徹底的に取り除いておきましょう。
ただし、畳を掃除する際には箒は畳の目に沿って掃く、水に濡れた雑巾は使わないなど、一定のルールを守らなければ畳を傷つけてしまったり、カビの生えやすい状況を作ったりしてしまう危険性があるので注意しましょう。
また、ロボット掃除機は畳を傷つけてしまう可能性があるため避けた方が無難です。
表替えや畳を新調する際に、い草の畳から和紙や樹脂系の畳にしてしまうのもひとつの手段です。
い草の畳と和紙・樹脂系の畳にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、丈夫で長持ちし、なおかつカビが生えにくいという特徴を持っているのが和紙系・樹脂系の畳。
「忙しくて換気や掃除をそんなにこまめにやっていられない」
という方でも、水分に強くカビが生えにくい特徴があるため安心です。
畳のカビは一度生えてしまうと不衛生で健康に危害を加えてしまう可能性があります。
そのため、生える前にしっかりと対策をしておくのがベスト。
こまめに換気や掃除を行い、湿度の高い日は除湿を心がけるようにしましょう。
また、最近ではさまざまな対策が可能となっており、防湿シートを使ったり、カビの生えにくい畳に変えてしまったりすることで畳にカビが生えにくくすることもできるようになっています。
金額のこと、畳の好みや条件など、分からないことも多いかと思いますので、気になることがあれば畳のプロに相談するのがベスト。
気になることがあればぜひ、川田畳製作所に相談してみてください。