畳の張り替えと聞いて、どんなものを想像しますか?
ひと昔前であれば、小麦色の畳が張り替えによってい草の香りが漂う緑色の和室に変化するのを思い浮かべることが多かったでしょう。
しかし、最近はい草の畳ではなく和紙や樹脂系の畳が多くなってきていて、特に新築の和室では新調するタイミングでい草の畳を使用しない場合が増えています。
それと共に、畳の張り替えにかかる金額や寿命などにも変化が見られます。
では、実際に張り替えるとなるとどれくらいの金額がかかるのでしょうか。
実は、畳の張り替えと言っても「裏返し、表替え、新調」と、大きく分けて3種類があります。
それぞれに料金の相場や張り替え時期の目安、メリット・デメリットなどがあるので、詳しくご紹介します。
ご自身のタイミングとも照らし合わせ、誤って払わなくても良い出費をしないように注意しましょう。
畳の寿命は約10年〜15年と言われていますが、設置してからずっとそのまま敷いておけるわけではありません。
実は、畳は土台となる畳床と、表面の畳表に分かれており、表面が汚れたり傷ついたりして交換が必要になるのが約2年〜5年と言われています。
畳表はござのようなものなので、裏表をひっくり返せばほとんど新品の状態で使えます。
そのため、汚れたり傷ついたりしたタイミングで裏表をひっくり返して使用します。これを「裏返し」と呼びます。
さらに、2〜5年すると裏も表も汚れたり傷ついたりするため、再度交換が必要となります。
ただ、畳床はほとんど傷んでいないことが多く、新しく作り直すのはまだまだもったいないタイミングです。
そこで、表面のござだけを交換し、表面だけ新品の状態で使用します。
これを「表替え」と呼びます。
「新調→裏返し→表替え→裏返し」のサイクルを繰り返すとおよそ10年〜15年程度となり、畳床も寿命が来るため新しい畳に交換するケースが多くなります。
畳の裏返しの相場は1畳あたり4,000円程度です。
畳の張り替えの中では最も安く、一軒家の和室程度であればその日のうちに終わります。
また、離島・遠方の場合は出張費・交通費をいただく場合があります。
ひと昔前であれば、自宅で畳縁を剥がし、縫い直して設置することが多かったですが、最近は機械を使った作業が主流なので、午前中にご自宅にうかがい、持ち帰って作業をした上で再度設置にうかがうのが一般的な流れとなっています。
場所や回収にうかがう時間によっては翌日納品となるケースもありますが、その日のうちに張り替えが必要な場合はご相談いただければ柔軟に対応します。
畳の表替えの相場は1畳あたり5,000円〜2万円程度です。
作業内容は裏返しとほとんど変わらないため、その日のうちに作業が終わる場合がほとんどです。
金額の違いは畳表と畳縁のグレードによる変動です。
い草の産地や品質によって価格は変動するため、最安値の畳表と畳縁を使用した場合は低価格で済むケースも多いです。
一方で、耐久性や変色などに違いがあり、安いい草ほど耐久性が低く、高いい草ほど丈夫できれいに変色していきます。
裏返し同様、畳を回収し、表替えをした上で再度納品にうかがう流れとなります。
畳の新調の相場は1畳あたり1万円〜3万5,000円程度です。
畳表や畳床、畳縁のグレードによって金額が変動します。
表替えで必要な畳表、畳縁に加え、畳床も追加になるため、自ずと金額が高くなります。
さらに、古い畳を回収・処分する費用も追加になり、処分費として1枚につき1,500円〜2,000円程度いただいています。
お店によっては古い畳の回収ができないケースや、もともとの料金に含まれているケースなどもあるため、気になる方は事前に確認しておきましょう。
また、張り替えにかかる時間については、一度現地で畳の寸法を調べた上で新しい畳をご用意するため、初回訪問後、3日〜10日程度で新しい畳を制作し、改めて張り替えにうかがいます。
遠方・離島など、場所によっては出張費や交通費が追加で発生する可能性がございます。
金額の目安:5,000円〜2万円
近年、和紙や樹脂系の畳が主流となっていますが、金額を抑えたい場合、最も安価なのはい草の畳です。
い草は産地によって価格や品質が異なり、中国産のい草を使えば1畳あたりの費用はかなり抑えられます。
その分、耐久性や品質も落ちてしまいます。
また、国産の上質ない草を使用する場合、和紙畳や樹脂系の畳と同じくらいの金額になる場合もあります。
主に神社や旅館など、い草の畳にこだわった上質な和室に用いられます。
一般家庭のい草畳にそこまでの品質を求める方は少ないですが、どうしてもこだわりたい場合は相談してみましょう。
金額の目安:1万円〜2万5,000円
和紙畳は、和紙をこよりのようにストロー状にすることで、い草と同じような弾力を得られるようにした畳です。
このストロー状の和紙を樹脂でコーティングし、い草畳と同じように編み込むことで畳表を作成しています。
1本1本の目幅はある程度調節が可能で、一般的なもので1.4mm程度、こまかいものだと0.7mm程度になります。
目の細かいものの方が1畳あたりに使用する本数が増えるため、キメがこまかく、美しい仕上がりになります。
その分金額も上昇していくので、予算と合わせて調整が必要です。
また、和紙畳はい草畳と比べて2倍程度の耐久性があると言われているため、張り替えの金額は高いものの、トータルコストはい草よりも安くなると言われています。
金額の目安:1万円〜2万5,000円
ポリプロピレンなどの樹脂を加工し、ストロー状の素材を作ることでい草と同じような弾力が得られるように加工した畳です。
樹脂に菌の不活性化を叶える素材が使用されている抗菌・抗ウイルス仕様の畳もあり、耐久性に加え、健康面でも安心できる畳です。
金額は1万4,000円〜とやや割高な感じがありますが、和紙畳同様耐久性が高く、い草の畳と比べると2倍程度と言われているためトータルコストはあまり変わりません。
さらに、水拭きが可能なので手入れがしやすい点もメリットのひとつ。
小さい子供がいるので耐久面や健康面などを考えて畳を選びたいという方には特におすすめです。
近年、DIY需要が増えるに伴って畳の張り替えに関するものが散見されますが、結論から言うとおすすめしません。
「ホームセンターで畳を買って張り替えてみる」といったものも見られますが、費用を抑えるためにやるのであれば避けておいた方が良いでしょう。
理由としては大きく分けてふたつあります。
1点は使用している畳が違うこと。
もう1点はトータル的に割高になる可能性が高いことです。
1点目の使用している畳が違う点については、上記の通りです。
ホームセンターや通販サイトなどで売られている畳はユニット畳で、本来はフローリングの上に敷いて使うためのものです。
裏面に滑り止めなどのコーティングがされており、そのまま敷いても滑りにくくなっているほか、通常の畳よりも厚みが薄くなっているのが特徴です。
また、家を作る時、大工さんは畳のサイズぴったりに部屋を仕上げているわけではありません。
もちろん、ある程度は合わせて作りますが、数ミリ程度の誤差は出てきます。
そのため、畳屋が畳を作る際に微調整をしています。
ユニット畳はすべて同じサイズで作られているため「小さすぎて隙間ができる」「大きすぎて入らない」といったことが起こります。
2点目の交換については上記の通り、ユニット畳は通常のい草畳と同じく5年程度で交換するのが一般的です。
裏返しや表替えではなく、毎回買い替えとなるため、処分費も含めると張り替えのタイミングで毎回余分な労力と費用がかかってきます。
通常の畳は裏返し・表替えで費用を抑えられるため、張り替えるのは10年〜15年に1回だけ。
一方で、ユニット畳を使う場合、5年に1回新調し続けることになるため、畳の費用+処分費で換算すると大幅なコストダウンにはなりにくいです。
しかも、場合によっては「畳が入らなかったので結局畳屋に依頼するハメになった」といった失敗も起こります。
そのため、畳の張り替えは畳屋に依頼することをおすすめします。
いかがでしたか?
畳の張り替えでは素材の品質を落とすことで費用をある程度抑えることが可能です。
ただし、その分耐久性も落ちてしまうため、長い目で見ると和紙を使った畳の方がコスパが良くなります。
さらに、手入れを楽にしたい、健康面にも配慮した畳にしたいといった場合、抗菌・抗ウイルスの樹脂畳を選ぶことも可能です。
「張り替えの費用を抑えたい」
「長い目で見てコストを抑えたい」
「好みの色の畳に交換したい」
「健康に配慮した畳にしたい」
など、希望に合わせて素材を選ぶことが可能です。
気になることがあればまずはお気軽にご相談ください。