「畳のリサイクルはできるの?」
という質問をいただくことがありますが、結論から言うと「できません」というのが一般的な解答です。
もちろん、引き取った畳の中にはまだ使えそうなものもありますし、このまま捨ててしまうのはもったいないものもあります。
インターネットで検索すると中古の畳を買い取ってもらえそうなサイトも見られますが、いらなくなった畳を引き取ってくれるお店は稀で、基本的には買い取りできないと思って間違いないでしょう。
「でも、ほとんど使っていない畳であれば引き取り手はあるのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は畳屋では畳のリサイクルが難しい理由と、何かしらの理由で畳が手元に残ってしまった場合の処分方法についてご説明します。
畳のリサイクルで失敗しやすいポイントなどもご紹介するので、参考にしてください。
まず、一般的な例ですが、畳屋に裏返しや表替えを依頼した場合、作業で出た今まで付いていた畳表や縁等のゴミは無料で引き取ってくれます。
新しく畳を入れ替える場合、不要になった畳は処分費をいただいた上で引き取っています。
このあたりのルールはお店によって異なるため、依頼した畳屋に事前に確認しておくと良いでしょう。
一方、何かしらの理由で不要になった畳が手元にある場合、不要になった畳を畳屋に持ち込んでも、引き取ることはできません。
もちろん、中古買取をしている畳屋があれば話は別ですが、そうでない場合、おそらく川田畳製作所だけでなく、どの畳屋にも同じことが言えるのではないかと思います。
畳屋は、引き取った畳のリサイクルができないため、お金を払って業者に畳を廃棄してもらっています。
そのため、仮にお金を支払っていただいたとしても、その後処分するしかない畳を引き取るようなお店は少ないです。
もし、畳を処分したい場合、畳屋ではなく、廃棄物の処理業者にお願いした方がスムーズです。
畳屋が畳をリサイクルできない理由は、お客様の部屋に合わせてオーダーメイドで畳を作っていることです。
畳一畳のサイズは江戸間、京間など、基準となる大きさはあるものの、すべてぴったり同じ大きさというわけではありません。
そのため、同じ6畳の部屋でも、家によってサイズが微妙に異なっており、どの部屋でも寸分違わずピッタリはまるということはあり得ません。
例えば、和室6畳の畳を作る時、寸法を測った上で部屋に合わせて畳を作っています。
仮に、寸法を測らず同じサイズの畳を6枚作っても部屋には入りません。
建物のサイズは機械の部品のように正確ではないため、間取り図で全く同じ6畳の部屋であったとしても数ミリ単位で違いがあります。
部屋の寸法より畳の方が大きいと入りませんが、小さ過ぎて畳との隙間が1cm近く空いていると、歩いた時にズレたり擦れたり、引っかかったり、さまざまな問題が起きてしまいます。
そのため、畳屋は畳を作る時、部屋のサイズを正確に測ってピッタリサイズのものを納品します。
例えばAさんの家の6畳間の畳をそのままBさんの家の6畳間に持って行っても隙間ができたり、大きすぎて入らなかったりします。
同じアパートで同じ間取りの201号室と202号室の6畳間ですら、サイズが合いません。
だから、他の家で出た畳を他の家に使うことはできません。
「畳を売りたい」という相談については、畳屋ではお受けできません。
畳のことだからすべて畳屋に相談した方が早いと思う方も多いかもしれませんが、リサイクルや中古販売に関しては畳の販売とは別の知識が必要です。
メルカリなどを使った個人間での売買なら売ることはできます。
通常のい草畳をメルカリで売っても買い手は見つからないかと思いますが、置き畳であれば実際に販売されているため買い手が見つかるかもしれません。
ただし、個人での取引はトラブルも起こりやすいので注意が必要です。
川田畳製作所では、新しい畳への張り替えの際は、料金をいただいて古い畳を回収していますが、畳屋によって古い畳を引き取れるかどうかや、料金がいくらかかるかは異なるため、事前に確認が必要です。
「仕事を依頼したのだから引き取ってくれても良いのでは?」
と思われる方が多いかと思いますが、畳屋も回収した畳に対してお金を払って処分しているため、お店によってはお客様に処分をお願いしている可能性があります。
そのため、100%引き取ってもらえると思って話を進めると施工後に「処分はご自身でお願いします」となり、後々トラブルになる可能性もあります。
最初に依頼する時点で回収してもらえるかどうかを確認しておきましょう。
もし、張り替えの際に畳を引き取ってもらえなかったなど、何かしらの理由で手元に畳が残ってしまった場合、ご自身で処分しなければなりません。
先にも記載した通り、リサイクルショップでの買取は期待できません。
そのため、自治体の方針に従って処分することをおすすめします。
処分方法や回収してもらえる量などは地域によって異なるため、自治体の管理センターに直接電話して確認しましょう。
本記事はあくまでも一例ですが、高松市の処分方法を参考として解説します。
高松市では、畳は粗大ゴミとして指定されており、直接ご自宅まで引き取りにうかがうか、お客様の手で処理施設に持ち込むかの2択になります。
粗大ゴミとして引き取ってもらう場合、1枚1,020円の費用が発生します。
1回につき2枚まで引き取ってもらえます。
電話で連絡して手続きをした上で、約1週間程度で引き取りに来てもらえます。
畳 1畳1枚 1,020円
1回につき2枚まで対応可能
0.5畳(リビング畳や置き畳などの薄いもの)は1枚510円で上限なし
※請負工事で発生したものは収集不可
※料金や枚数は2023年8月現在のものです。変更の可能性があるため、詳しくは直接問合せてください
処理施設に自分で持ち込む場合、100kgで1,620円。
100kgを超える場合は20kgごとに320円加算になります。
畳1畳の重さが建材畳で約10kgから20kg程度。
藁床の畳だと30kg程度なので、引き取りに比べると持ち込みの方が断然安くなります。
ただし、畳を運べる大きな車がなく、レンタカーで軽トラやワンボックスをレンタルする場合、枚数によっては引き取りに来てもらった方が安くなる可能性もあるので注意が必要です。
自治体のルールに従って粗大ゴミとして処分する以外に、地域の不用品回収業者に依頼するのもひとつの方法です。
この場合、料金はカゴいっぱい分、トラック1台分など、業者によってサイズと料金設定が異なります。
中には処理施設に依頼するより、回収業者にお願いした方が安くて早い場合もあるので確認しておきましょう。
インターネットで調べると畳のDIYなども記載されており、昔に比べると自分でもできるようになっているかもしれませんが、畳屋としては推奨しません。
畳1畳分の材料費は割安かもしれませんが、サイズが合わず不恰好になってしまいます。その上、古い畳の処分料がかかってくるため、大幅なコストダウンになりにくいです。
また、畳はリサイクルショップに売れない可能性が高いため、ほとんどの場合は自分で処分しなければなりません。
今ある畳をできるだけ長く使い続け、使えなくなったら新調するようにしましょう。
もし、ご自身で畳の張り替えをする場合、かかる労力と金額を考えるとマイナスの方が大きいです。
その上キレイな仕上がりにならないため、節約のためであっても辞めた方が無難です。
いかがでしたか?
畳の張り替えをご自身で行う場合も、古い畳をリサイクルできるケースはかなり限られてきます。
また、張り替えから古い畳の処分までスムーズにいかないケースもあるため、トータル的に見ると畳屋に張り替えを依頼した方が安心です。
畳の張り替えや新調に関することなど、気になることや分からないことがあれば、まずは川田畳製作所までお気軽にお問い合わせください。