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琉球畳とは?和とモダンが融合した特徴的な畳の魅力をご紹介

2023.05.17

「琉球畳」とは、読んで字のごとく、沖縄で多く用いられている畳のこと。
ただ、近年はこの琉球畳が新築やマンションなど、さまざまな家に取り入れられている印象があるようです。

実はこれ、琉球畳と置き畳が同じものだと思われていることから来ているようで、本来はまったくの別モノなんです。
そこで、今回はモダンなデザインの和室作りにも適した「琉球畳」について、正しい知識を解説していきます。
メリット・デメリットや特徴などを紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

琉球畳とは?特徴や魅力について


琉球畳とは「七島い草(しちとういぐさ)」という、日本では大分県の一部でしか栽培されていないい草を使って作られた畳のことを言います。
「なんで沖縄の畳なのに大分県でしか取れないの?」
と思われるかもしれませんが、かつては鹿児島県の奄美地方にある「トカラ列島」が「七島(しちとう)」と呼ばれており、ここで取れていたい草のことを七島い草と呼んでいました。
沖縄ではかつて、この七島い草を使った畳が主流だった名残から、琉球畳と呼ばれています。

七島い草はその後、江戸時代に大分県の国東半島へと伝わり、現在では、国東市で作られている七島い草が日本で唯一の産地となっています。

つまり、本来琉球畳とは七島い草を使って作った畳のみを指すため、非常に希少な畳なのです。
ちなみに、七島い草は通常のい草に比べて丈夫なので、天然の畳としては高い強度を備えた畳としても人気です。

琉球畳の3つの特徴

琉球畳には、七島い草が使われていること以外に大きな3つの特徴があります。
そして、この特徴こそが、琉球畳のイメージ定着にひと役買っていると言えます。

縁がない

まず、特徴のひとつとして琉球畳には畳の縁がありません。
通常、畳は畳床に畳面をかぶせ、角をカバーするために縁を付けます。
しかし、琉球畳は縁を使わず、畳面と畳床のみで構成されています。

通常の半分のサイズ

琉球畳は、通常の畳の半分のサイズであり、2枚合わせて一畳分のサイズになります。
畳の基本サイズは江戸間と呼ばれる5尺8寸×2尺9寸が一般的。
これを現代のサイズに直すと1760mm×880mmになります。
琉球畳はこの半分なので、880mm×880mmの正方形ということになります。

滑り止めがついていない

混同されやすい置き畳やフローリング畳とは違い、裏面に滑り止めが付いていません。
また、厚みも一般的な畳と同じ55mm程度。
畳面に七島い草を使われていること以外は、ほぼ半分サイズの畳と同じものと言えます。

琉球畳と置き畳の違いや混同されやすいポイント

琉球畳の特徴やサイズからも分かるように、起き畳やリビング畳と琉球畳はまったく違うものです。
しかし「縁がないこと」「正方形であること」の2点の特徴が置き畳、リビング畳と同じだったため、混同してしまっている方も少なくないようです。
実際の琉球畳は滑り止めがなく、厚みもあることからリビングに置いてカーペットやマットの代わりに使用することはできません。

琉球畳風の置き畳


畳の宣伝文句を見ると「カラーバリエーションが豊富」「リビングに置くだけの琉球畳」など、あえて置き畳が琉球畳と同じもの思えるキャッチコピーで売り出しているお店もあります。
ただ、実際に琉球畳の特徴を持ちながら七島い草を使わずに琉球畳風に仕上げた置き畳もいくつかあります。
それは「目積(めせき)」と呼ばれる織り方です。

特徴としては、通常よりも畳の目が細かいこと。
一般的な畳に比べて目の細かい織り方をすることで琉球畳のような雰囲気になります。
セキスイの目積シリーズをはじめ、商品によってこまかい織り方をしているものがあるので、琉球畳風の置き畳をリビングに設置したいと考えている方におすすめです。

琉球畳のメリット・デメリット

琉球畳や、琉球畳風の置き畳など、正方形の縁なし畳のメリットとデメリットを紹介します。

琉球畳のメリット

琉球畳のメリットは大きく分けると3点。

●洋室との相性が良い
琉球畳はフロアカーペットやタイルマットのように、色を組み合わせて配置するのが一般的。
置き畳の場合、カラーバリエーションが豊富なので、好みの色からフロアに合ったデザインを選べます。
また、縁がないため純和風のいかにも「畳の部屋」というデザインになりにくく、洋室との相性が良いため、新築やリフォームにも多く取り入れられています。

●部屋が広く見える
縁のない琉球畳は1枚1枚の区切りが目立ちにくいため、縁のある畳に比べて部屋が広く見える特徴があります。
また、正方形の畳の向きを縦横で交互に配置すると、光の見え方で市松模様のようになります。
こちらの方が配置としては一般的ですが、この場合区切り位置が明確になるため「部屋を広く見せる」という視覚効果は薄くなります。
一方、畳の向きを揃えて配置することで、畳の境界を目立たなくし、部屋を広く見せることができます。

●丈夫で長持ち
七島い草は通常のい草に比べて丈夫で耐久性が高く、一般的な畳の5〜6倍とも言われています。
また、通常の畳は変色を少しでも抑えるため、泥染めと洗浄加工を行います。
この泥が残ってしまっているとアレルゲンになりますが、琉球畳は泥染め自体を行わないため、アレルギーが起こりにくいとされています。

デメリット

琉球畳のデメリットは、大きく分けると3点。

●値段が高い
これは、七島い草を使用した場合ですが、値段がかなり高いです。
一般的には、サイズが通常の畳の半分しかなく、縁もついていないのに価格はそれほど変わりません。
もし、同じ広さの部屋に畳を敷くなら通常の2倍のコスパということになります。

丈夫で長持ちするメリットはありますが、織り方の関係上畳面の裏返しができないため、コスパはかなり悪くなります。
琉球畳風の置き畳の場合、樹脂加工されていて耐久性が高く、琉球畳に比べるとコスパもかなり良くなるので、金額を抑えたいという方は置き畳を選ぶのがおすすめです。

●裏返しできない
通常、畳は色褪せたり傷ついたりすると裏返しや表替えをして、使うのが一般的です。
2〜3年で裏返しをし、5年程度で表替えをした上で、1枚の畳で約10年程度使用する場合が多いです。

しかし、縁のない琉球畳は一度折り曲げた畳表をひっくり返して使うことができないため、裏返しができません。
また、畳によっては畳床に畳面を接着剤で貼り付けているケースがあり、この場合は表替えもできないので、最初の時点で畳に接着剤を使うかどうかを事前に確認しておいた方がよさそうです。

●角が痛みやすい
琉球畳や置き畳など、縁のない畳全般に言えることですが、角が補強されていない分痛みやすくなっています。
七島い草の強度は高く、上にベッドを置いても痛みにくい強度を持っていますが、重い家具を運ぶ際、角が畳の縁に擦れてしまったり、擦りながら動かしていると、間に物が挟まっていて擦り跡が残ってしまったり、硬い部分で強く触れれば傷ついてしまう可能性は十分にあります。
そのため、物を移動させる場合は畳に擦って動かさないことや、布を敷くなどして角が当たっても傷つきにくいようにしておくなど、畳を痛めないための工夫が必要です。

琉球畳の価格は?

琉球畳の価格は、6畳で約15万円〜20万円程度です。
また、外国産の七島い草を仕入れれば少し費用を抑えることは可能ですが、大分産のものと比べると耐久性が低、品質が悪くなる可能性があります。

琉球畳の活用例

本来の琉球畳は一般的な畳と同じくらい厚く、裏に滑り止めがついていないため、決められたスペースにはめ込んで設置するのが一般的です。
ここではその活用例の一部をご紹介します。

リビングに和室を併設させる


縁のないデザインの琉球畳はフローリングとの相性が良く、一緒に並べても大きな違和感が出ないメリットがあります。
置き畳をフローリングに直接敷くのも、この相性の良さが理由です。
そのため、リビングに和室を併設させた際にも、純和風に寄りすぎないデザインとすることで、違和感が少なくなります。
さらに、リビングから和室までがひと繋がりになることで、スペースを広く使えるメリットもあります。

リビングに小上がりの和室を作る


リビングに小上がりの和室を設けると、洋室の一角におしゃれなスペースが違和感なく溶け込みます。
畳の柄を市松模様にすればおしゃれ度もアップ。
リビングとの仕切りが明確になるほか、小上がりになっている部分に腰掛けて椅子の代わりにもなるため家族の団欒スペースのひとつにもなります。

和の空間を融合させる


リビングに仕切りを設け、あえて和の空間を融合させることでデザイン的にもおしゃれに見えます。
和の空間に掘り炬燵を設置したり、中央に囲炉裏を設置したりと、工夫次第でさまざまなレイアウトにできます。
また、置き畳を使えば、仕切りを設けずそのままフローリングに和の空間を自由に作り出すことも可能です。

琉球畳のメンテナンス方法

琉球畳で使われている七島い草は、特徴的には他のい草と大きく変わりません。
そのため、メンテナンス方法も一般的な畳と大きく変わりません。
畳の目に沿ってほうきや掃除機を使う。濡れた雑巾を使わない。風通しを良くし、しっかりと換気をするなど、畳のメンテナンスをそのまま琉球畳にもしておけば問題ありません。

もちろん、い草は植物なので掃除を怠ったり、敷物を敷き、湿度の高い状態で放置したりすると、カビやダニが発生してしまう可能が高くなるので注意が必要です。

琉球畳のことなら川田畳製作所へ

琉球畳は置き畳と違い、仕切りを設けて設置する必要があります。
そのため設置する場合は、琉球畳のサイズに合わせてスペースを設けるか、用意されたスペースに合わせて琉球畳をはめ込むかのいずれかになります。
大手家具のチェーン店やネット通販で売られている置き畳とは違い、琉球畳のご依頼は畳屋に依頼するのが一般的です。
まずはどれくらいのスペースに琉球畳を設置するのかをご相談ください。
プロが直接現地にうかがい、採寸した上でピッタリサイズの琉球畳をご用意致します。

また、畳店によっては琉球畳と琉球畳風の置き畳とを混同してしまっているお店もございます。
七島い草を使った本格的な琉球畳をお求めの場合、そういった区別がしっかりつ付けられるお店を選ぶことをおすすめします。
琉球畳をお考えの方はぜひ、川田畳製作所までご連絡ください。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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