川田畳製作所

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畳の寿命は何年?長持ちさせるポイントや張り替えの目安について解説します

2023.02.01

畳は消耗品なので、どんなに大切に使っていても少しずつ劣化し、最終的には交換が必要になります。
とは言え、電化製品のように交換サインがある訳ではないためひと目見ただけで「そろそろ交換しなきゃな」と判断するのは難しいという方も多いでしょう。

さらに、お金のかかることなのでできれば長く、きれいな状態で使い続けたいと思っている方も多いはず。
そこで、今回は畳を交換するタイミングや、寿命を延ばすためのメンテナンス方法、張り替えなければならない寿命の判断基準などについて詳しく解説していきます。

畳の寿命は10年?20年?部位によって寿命が異なる

畳の寿命はだいたい10年から20年と言われています。
とは言え、10年と20年では全然違いますし、目安として分かりにくいですよね?

実は、丁寧に使えば寿命が倍になるという訳ではありません。
10年と20年では寿命と言われている部位が異なるものを混同してしまい、少しややこしくなってしまっているようです。

●畳表の寿命が約10年

まず、寿命が10年と言われているのは畳表と呼ばれている、いわゆるゴザの部分。
畳は表面に敷かれているゴザと、その土台となっている畳床に分かれています。
このうち、天然素材のい草を使って織られているのが表面に出てくる畳表の部分です。

人の生活に接する表面の部分なので、日光による日焼けで変色したり、飲み物がこぼれて汚れたり、場合によってはテーブルや掃除機などが当たってささくれができたり、い草がところどころ切れてしまったりすることもあります。
こうなると畳屋さんに依頼し、表面部分と裏の部分をひっくり返します。

畳表は片面で約3年〜5年程度の寿命となるため、裏返して使い、合わせて6年〜10年程度で寿命となります。

>>表替えについて詳しく確認したい方はこちらのブログをチェックしてください

●畳床の寿命が約20年

畳床は、畳表を縫い付ける、土台となる部分のこと。
少し前までは稲わらを重ねて作っていましたが、ダニの発生源になりやすいことや、制作に手間がかかることなどから、最近ではインシュレンボードとポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)など、クッション性のある素材を使って作られているケースが多くなっています。

畳表を裏返して両面使っても、畳床はまだまだ使えるケースが多いため、10年経つと畳表だけを新しいものに交換する場合がほとんどです。これを「表替え」と呼んでいます。
一般的には表替えをして、畳表を2枚とも、両面使用するとだいたい20年くらいになります。
20年使い続けると畳床にもへこみができたり、部分的に硬い部分と柔らかい部分ができたりするため、新調することが多くなります。

畳表が交換時期になっていても、畳床がまだまだ使えるようであれば、さらに10年使用することも可能です。
畳床は汚れたり、直接損傷したりすることが少ないため、丁寧にメンテナンスを繰り返せば、20年〜30年、交換なしで使えるとも言われています。
このあたりは畳の表替えの際に、対応してくれる畳屋さんに相談してみるのが最も確実です。

年数以外の寿命の判断基準は?

畳の寿命として掲げられている年数はあくまでも目安のひとつです。
毎日ペットと和室で過ごしている方と、ほとんど和室を使用していない方で、畳の寿命が同じになるはずがありません。
そのため、畳の交換時期を年数だけで判断するのは少し危険です。
色や感触など、判断基準となるポイントについてご紹介します。

畳表の色で判断
い草の畳は年月の経過と共に色が黄色っぽくなっていきます。
新調した畳はきれいな緑色をしているのに、しばらく使っていくうちに黄色っぽくなっていき、さらに使い続けていくと今度は黒ずんだ茶色になっていきます。
黄色っぽさが失われていき、黒ずんだ色になってきたら交換のサイン。
直射日光を浴びて色褪せてきた場合や、黒い筋が畳表にたくさん入っている場なども同様に交換時期だと判断した方が良さそうです。

畳表の状態で判断
年数が3年以上経っていなくても、汚れやシミ、ささくれや切り傷などがあり、ひどく傷んでいる場合は、早めに交換を検討した方が良さそうです。
汚れやシミについては、小さなお子様がいて、定期的に汚してしまう場合は「どうせすぐに汚れてしまうし」と考えてしまい、タイミングを見極めるのは難しいかもしれません。
ただ、あまり放置し過ぎると見栄えが悪くなったり、傷口が広がってしまったりするため、できれば早めの対応をおすすめします。

畳がカビやダニに侵食された
い草の畳は天然のものなので、カビやダニが発生しやすいです。
特に、ダニは一度発生してしまうと完全に追い払うことは難しく、畳表を片面しか使用していなくてもそのまま交換しなければならないケースもあります。
最悪の場合は畳床にまでダニが発生しまい、全ての畳を新調しなければならないケースも出てきます。

歩いている時の感触で判断
畳表を支えている畳床が、歩くとふわふわしたり、一部分だけぐにゃりとへこんだりすることがあります。
これは畳床の藁に原因があり、メンテナンスで元の状態に戻すことは難しいため、新調する必要があります。

日々のメンテナンスで気をつけること


畳を長持ちさせるために注意することは、大きく分けて4つあります。
コレさえ気を付けておけばある程度長持ちさせることができます。
畳の寿命を延ばすためにも、ぜひチェックしておきましょう。

湿気に注意
畳で最も怖いのは湿気。
なぜなら、カビやダニが発生してしまうと、見えている部分だけの対処では終わらないからです。
最悪の場合、ダニが大量発生してしまうと、寿命はまだ何年も先なのに、交換しなければならないというケースも出てきます。

こまめに空気を入れ替えるなど、換気することで畳の湿気を取り払っておきましょう。
湿度の高い梅雨時などは、可能であれば、晴れた日に畳をはがして日陰干しすることで畳をより乾燥させることができます。

表面に傷がつかないよう注意する
畳の部屋で物を動かす時や、掃除機をかける時に、できるだけ表面を傷つけないよう注意しましょう。
例えば、掃除機をかける時には畳の目に沿ってかける、ペットを飼っている時は、畳の部屋には入れないように注意する、畳の部屋でタバコを吸わないなどもそのひとつ。
い草は植物なので傷がつきやすく、一度傷が入ってしまうとそこからどんどん大きくなってしまいます。
最初の傷をつけないよう注意することが、畳を長持ちさせる上で重要なポイントになります。

定期的に掃除をする
掃除機をかけると傷がつく可能性があるため注意が必要ですが、掃除をしないのも問題です。
何故なら、食べかすや人の髪の毛などは、ダニのエサになってしまうからです。
生活しているとどうしてもゴミやホコリは出てしまいます。
放置するとそれをエサにダニが発生してしまう可能性があるため、定期的に掃除をしておきましょう。

>>畳の正しいお手入れ方法についてはこちらをチェックしてください

畳の上に敷物を長時間置かない
カーペットなどの敷物を畳の上に敷いたり、布団を敷きっぱなしで放置したりするのは、畳の部屋では非常に危険です。
何故なら、日陰のジメジメした空間を作り出してしまっている可能性が高いからです。
湿度の高い日陰の空間はカビやダニにとって快適な環境のため、繁殖の危険性が高まります。

敷物を敷いている場合は定期的に洗って干し、その間に畳も乾燥させましょう。
畳の上に布団を敷いている場合、毎日たたんで押し入れにしまい、寝る時だけ布団を敷く習慣にしましょう。

最新の畳で寿命が長くなる?


畳を交換する際、い草の畳を使わず最新の和紙畳や樹脂系の畳に交換してしまうことで、寿命を延ばすことが可能です。
何故なら、最新の畳にはい草にはない、長持ちのポイントが詰まっているからです。

植物ではないため、ダニが繁殖しにくい
和紙や樹脂を使った畳は、どちらもい草のような植物畳ではないためダニの発生源になることはほとんどありません。
「和紙は植物では?」と思われるかもしれませんが、畳で使用する和紙はストロー状にした上で樹脂コーティングしているため、畳のような弾力と樹脂の強度を併せ持つ畳の材料となっています。
そのため、畳表をい草から最新の素材を使った畳に変えるだけでダニの繁殖の心配が大幅に軽減されます。

樹脂のコーティングで丈夫で長持ち
樹脂によるコーティングで、い草に比べて畳の強度が大幅にアップ。
まったく傷がつかない訳ではありませんが、今までのように「丁寧に扱っていても傷がついてしまう」といったことは少なく、ある程度気を遣って生活していれば、ささくれや傷などは非常に発生しにくくなっています。
傷が入りにくくなったことにより、3年〜5年と言われている畳の寿命を待たずして交換しなければならなくなる可能性が大きく下がっています。

湿気を溜めにくくカビが生えにくい
畳にカビやダニが繁殖してしまう原因は、い草が湿気に強くないのに、湿度を吸収する「調湿効果」を持っていることにあります。
一方、最新の畳は植物ではないため、基本的には調湿効果を持っていません。
また、一部調湿効果のある畳もありますが、湿気に強くカビに繁殖される可能性は極めて低くなっています。

藁床を使わないため丈夫で長持ち
新たに畳を新調する場合、インシュレンボードとポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)などの素材を使った畳床を用いることがほとんどです。
この素材は藁床に比べて安価で長持ちすることはもちろん、藁床とは違ってダニの繁殖するスペースがありません。

和紙や樹脂を使った畳表と合わせることで、最新の畳がダニの発生源となることはほぼなくなっています。
そのため、畳が寿命を迎える前にカビやダニに侵食されてしまうことが少なく、結果的に長持ちする確率が大幅にアップしています。

変色が少なく色による寿命がない
最新の畳はさまざまな色を選ぶことが可能です。
加えて、い草の畳のように新調した時は鮮やかな緑色だったものが、黄色くなり、茶色くなるといった色の変化は起こりません。
日焼けによってちょっとした変色はあるかもしれませんが、変色を理由に畳を交換することはまずありません。
そのため、最初に気に入った色をチョイスすれば、すっと同じ色の畳を使い続けることが可能です。

畳の寿命は変えられる

いかがでしたか?今回は、畳の寿命についてご紹介しました。
畳には畳表と畳床があり、畳表が約10年、畳床が約20年程度の寿命となることや、その判断基準などを解説しました。
そして、日頃からきちんと手入れをしていれば、寿命は伸ばせることも分かったと思います。

さらに、最近ではい草ではなく和紙や樹脂などを使った畳が増えており、単価は高いものの、好みの色を選べる上、丈夫で長持ちす。
ダニやカビが繁殖しにくいなどのメリットから新築や新調のタイミングで選ばれるケースが増えています。
もし、畳の裏返しや表替え、新調などのご要望がある場合は、まずは一度「川田畳製作所」までお問い合わせください。

川田畳製作所へのご相談はこちら >

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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