近年、新築の和室や畳の張り替えをする際、モダンなデザインの畳が採用される機会が増えています。
住宅のパンフレットやサンプル写真などで、青色や黒色の畳を目にしたこと、ありますよね?
色のついた畳はフローリングの洋室とも相性が良く、リビングに併設した小上がりの和室に取り入れられることも少なくありません。
モダンな和室に採用される畳には、近年開発されたさまざまな素材が用いられています。
この記事では、その中でも「和紙」を使った和紙畳について詳しく紹介していきます。
い草の畳と比較した際のメリットやデメリット、特徴や価格など、1つひとつこまかく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
和紙畳とは、その名の通り和紙を使った畳のことです。
こよりのように編んだ中が空洞になった和紙を編み込んで、い草と同じような方法で作られています。
中が空洞になっているため上に乗った時にストローのように筒の部分がたわみ、畳と同じようなクッション性を実現させています。
そのため、歩いたり寝転がったりした時の感覚は、い草の畳と大きく変わりません。
また、和紙という言葉から「水に弱そう」というイメージを持たれることがありますが、表面を樹脂でコーティングされているため、水をこぼしても安心。
い草の畳と違ってさまざまなカラーバリエーションから選ぶことができ、
「部屋をおしゃれにコーディネートしたい」
「フローリングに合わせて畳の色を調整したい」
といったご要望にも対応が可能です。
和紙畳を主に取り扱っているのは建築資材の大手メーカー「ダイケン」さんです。
正式名称は大建工業株式会社ですが、一般的にも「ダイケン」や「DAIKEN」と表記されることが多く、呼び方も「ダイケン」で通っています。
川田畳製作所でも取り扱っているので、詳しくは商品紹介ページを参照してください。
和紙畳とい草畳の違いはカラーバリエーションが選べることだけではありません。
具体的には下記のような特徴があります。
和紙畳はい草畳に比べ、高い強度を持っています。
耐久性はい草畳の約3倍と言われていて、い草畳ではよくある、物が擦れてしまった時のささくれなどができにくい点が特徴です。
一度傷つくとそこから傷が広がっていき、広範囲に渡って畳が傷ついてしまうことも少なくありません。
その点、ささくれが起きにくい和紙畳なら、長期間新品のような状態で畳を使うことができます。
和紙畳は名前だけ聞くと水に弱そうですが、表面を樹脂でコーティングしているので水に対する強度もい草より強くなっています。
何より、撥水加工なので液体が浸透しにくく、畳の上に水をこぼしてしまっても簡単に拭き取ることが可能です。
お手入れの際に水拭きすることも可能なので、い草畳に比べてメンテナンスしやすい点も魅力のひとつです。
状況や環境によってダニやカビの発生源となってしまうい草畳。
そのため「畳はダニが発生する」というイメージを持たれがちですが、和紙畳はダニもカビも発生しにくいのが特徴です。
水が浸透しないくらいきっちりと編み込まれた和紙畳にダニが侵入する隙間はありません。
仮に入り込めたとしてもダニのエサになるようなものが少なく、い草畳のようにダニにとって快適な空間ではありません。
また、湿度を吸収する効果がないため、劣悪な環境であったとしても、湿気を溜め込んでカビが繁殖するということはほとんどありません。
い草は植物なので、新調した時はきれいな緑色をしているのに、しばらく使っていると色褪せて変色してしまう特徴がありました。
もちろん、和紙も日光を当て続ければ日焼けするので多少の変色はあります。
しかし、和紙畳はい草畳に比べて変色の度合いが低く、長期間使い続けても同じ色の空間を楽しむことができます。
和紙畳は1枚のコストはい草の畳に比べて少し高めです。
その分強度が強く、耐用年数は20年〜40年と言われています。
い草の畳の寿命が平均して15年、上質なものでも25年程度と言われているので、場合によっては2倍以上の寿命があるということになります。
そのため、時間的なコストを考えた時、長い目で見ると和紙畳の方がコストは安くなることが多いです。
和紙畳がおすすめなのは、下記のような方、ご家族です。
●小さいお子様がいるご家族
小さいお子様がいる場合、飲み物やお菓子をこぼしてしまう可能性が高く、い草の畳だとダニの発生源になってしまう可能性があります。
一方で、和紙の畳なら汚しても簡単に掃除ができる上、ダニやカビの発生源になりにくいメリットがあります。
衛生面でも快適な環境をキープできる点は、子供と生活するご家族にとって安心と言えます。
さらに、畳の部屋はフローリングに比べてクッション性が高いことから子供たちの遊び場になる可能性も高くなります。
そのため、おもちゃで擦ったり、物を落としたりすることで、い草の畳はささくれができてしまいます。
和紙畳ならい草の畳に比べて丈夫なので、寿命もより長くなります。
自由に子供を遊ばせる場所として和室を使う場合は、い草に比べて和紙畳の方が適していると言えます。
●こまめに畳のメンテナンスをするのが難しい方
時間がない、面倒臭いなど、理由はさまざまですが、畳のメンテナンスをこまめにできないと、い草の畳は汚れたり、ダニやカビが発生してしまったりする可能性が高くなります。
また、今は発生していなくても、このままメンテナンスをしない期間が続けばその時が訪れる確率はアップしていきます。
和紙畳にすることで、その確率を大幅に下げることができるため「頑張ってメンテナンスをしよう」と意気込むくらいなら、最初からメンテナンスが楽な和紙畳を採用した方が安心できます。
●畳の色や見た目にこだわりたい方
和紙畳はさまざまな色を選べる上、時間の経過から日焼けや劣化による色褪せなどが少なくなります。
もちろん、まったくない訳ではありませんが、い草の畳のように、敷いた時は鮮やかな緑色だったのが、時間が経つと小麦色に変わるような大きな色の変化は起こりません。
色の変化はい草畳の魅力でもあるのですが
「新品の畳のように、鮮やかな緑のままで保っておきたい」
「ブルーの畳で和室をモダンな雰囲気にしたい」
といった希望がある場合は、い草の畳では叶えることが難しいため、和紙畳の採用をおすすめします。
●トータル的な費用を抑えたい方
初期費用はい草の畳に比べてやや高めですが、メンテナンスのことを考えると和紙畳の方がコストは安めです。
長い目で見て出費を抑えたいと考えている方は、和紙畳の方がおすすめ。
一方、初期費用を抑えて和室を作りたいという場合は中国産のい草を使うなど、費用を抑える方法はあるので、ぜひご相談ください。
反対に、和紙畳が合わない方ももちろんいらっしゃいます。
上記の3点を好む方は特に、い草の畳でなければ難しいです。
香料などで畳の香りを出すことも不可能ではありませんが、やはり本物のい草畳が持つ自然な香りに対抗するのは難しいです。
また、和紙の畳では色が変化しにくいため、色の変化を魅力と捉える場合、い草の畳を選ぶ必要があります。
い草畳には和紙畳にはない魅力があるので、特徴をしっかりと把握した上で、どちらが良いかを検討してみましょう。
では、実際に和紙畳を取り扱っているダイケンの商品を参考に、定番の色や商品の特徴について解説していきます。
まず、これまでも説明した通り和紙畳は、い草にはない豊富なカラーバリエーションが魅力です。
実際の商品例やカラーバリエーションについては下記リンクから商品詳細をご確認ください。
●豊かなカラーバリエーション
ダイケンの和紙畳は、複数用意された製品ごとにさまざまな色をチョイス可能です。
例えば和紙を使った緯糸を3色で編んだ製品「穂波」は、全6色から、シンプルに1色の緯糸のみを使って織り込んだ「清流」は、15種類以上ものカラーバリエーションからチョイスが可能です。
ちなみに、よく写真でツートーンの縞模様のように、正方形の畳を隣とは異なる色で配している写真を目にすることがありますが、実はこれも同じ種類、同じ色の畳です。
穂波のように複数の色で構成された畳は、網目を縦から見るのと横から見るのとで色合いが異なって見えます。
そのため、同じ畳を向きを変えて配置するだけで、異なった色の畳を置いているように見えます。
異なる色の緯糸を使った畳でも、向きを揃えて配置すれば色は同じに見えるので、隣り合う畳の色を変えたい、変えたくないなどの好みによってもチョイスすると良いでしょう。
●畳縁も複数の種類から選べる
畳に縁をつけるか、琉球畳のように縁なしで配置するかを選べるので、お好みに合わせてチョイスしましょう。
縁をつけた方がその分だけ金額が上がることもあって、最近では安くてシンプルな縁なしが選ばれることが多くなっています。
また、縁のある、なしによる製品の大きな違いはなく、あくまでも見た目をどうしたいかの違いになります。
とは言え、縁のデザインも今風に進化しています。
最近では「和の雰囲気」にこだわった、これぞ畳という縁だけでなく、モダンなデザインのものも増えているので、最初から縁は付けないと決めつけず、一度見てみるのもおすすめです。
実際のデザインを見ると意外にお気に入りが見つかり、縁ありの方が気に入ったという方も多くいらっしゃいます。
●敷き込みタイプ、置き式タイプどちらも対応
ダイケンの和紙畳は、和室のサイズに合わせて畳を配置する置き敷きタイプと、フローリングなどに部分的に敷いて和の雰囲気を感じられる空間を作る敷き込みタイプの2種類があります。
敷き込みタイプは今ある空間に収まるサイズの畳を敷く程度であれば、市販されているものを購入するのがおすすめです。
決められた範囲に収める必要がある場合は市販のものでは隙間ができてしまったり、最悪の場合入らない可能性も出てくるため、畳店にオーダーすることをおすすめします。
置き敷きタイプの場合、空間のサイズに合わせて畳を調整する必要があるため、市販の畳では対応が難しく、畳店に採寸や製作を依頼する必要があります。
畳の張り替えやオーダーメイドをお考えの方は、まずは一度川田畳製作所までお問い合わせください。