畳の部屋は日本人の心が休まる場所。
普段はフローリングの部屋で生活することが多くても、新築の一軒家を立てる際に、和室を作らないという方はほとんどいません。
ただ、畳はフローリングに比べて繊細なので、どうやって掃除をすれば良いか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は畳のお手入れ方法の基本についてご紹介します。
実は、普段の畳のお手入れはそこまで難しいものではありません。
こまめに畳をお手入れすることは、畳を長持ちさせることにも繋がるので、ぜひ参考にしてください。
まず、普段の畳のお手入れは掃除機と拭き掃除、お部屋の換気がポイント。
フローリングの掃除機掛けに合わせ、和室も同じように掃除しましょう。
注意点として、畳はフローリングに比べて繊細なので、できるだけ優しく丁寧に掃除すること。
一畳に1分くらいのペースで、ゆっくりと時間をかけましょう。
掃除機なら一定のスピードでゆっくり動かすのがポイント。
ほうきの場合は小刻みに動かした方が目に挟まったゴミを掻き出しやすくなります。
定期的に畳を拭き掃除します。
これにより、ほうきや掃除機では取れなかったゴミやほこり、汚れなどを取り除くことができます。
注意点として、畳は湿気に弱いため、濡れたまま放置すると畳が傷んだりカビがはえてしまったりする可能性があること。
やり方によっては逆効果になりかねないので気を付けましょう。
濡れた雑巾を使う際、上記のことを注意してください。
まず、雑巾はかたく絞るのがポイント。畳は水を吸収するため、濡れ過ぎた雑巾の使用は避けてください。
女性をはじめ、力が弱く、雑巾をかたく絞れないという場合は乾いた雑巾を挟むのがおすすめです。
濡れ雑巾で拭いた後はすぐに乾拭きし、湿気を取り除きましょう。
ひと通り拭いてから乾拭きするのではなく、右手で濡れ雑巾、左手で乾拭きといった感じで、すぐに湿気をふき取るのが良いでしょう。
窓を開けて風通しをよくし、部屋の換気をしてあげることは畳を長持ちさせる上で重要なポイントのひとつです。
畳は湿気に弱く、湿度が上がった状態が続くとカビやダニが発生してしまう可能性があります。
忙しくてなかなかこまめに掃除ができないという方は、換気するだけでも結果が大きく変わってきます。
特に梅雨の季節など、じめっとした日が続く時は注意しておきましょう。
普段からお手入れをしていても、トラブルが起きることはあります。
そこで、コーヒーをこぼしてしまった、カビが生えてしまったなど、さまざまなトラブルへの対処方法を紹介します。
■ 畳に液体をこぼしてしまった時
飲物や調味料、煮物の汁など、液体を畳にこぼしてしまった場合、速やかに対応が必要です。
上記が一連の掃除の流れになります。
まずはいち早く液体を拭き取ってあげることが最も重要です。
液体は畳に浸透するため、対応が遅れると畳がすべて吸収してしまいます。
手遅れになると畳にシミができてしまうので、できるだけ迅速に対応しましょう。
塩には臭みやぬめりを取る効果や、研磨作用、抗菌作用があるため、畳を変色させることなく汚れや湿気を取り除くことができます。
塩をふりかけ、しばらく待つと畳の湿気を塩が吸収し、湿ってくるので、その上で歯ブラシなどでこすって汚れを落としましょう。
汚れを取り切れないと畳にシミができてしまうため、こぼした範囲をしっかりと掃除してください。
最後は塩を取り除き、雑巾で拭いて仕上げます。
かたく絞った濡れ雑巾を使用した後、乾拭きしてできる限り湿気を取るようにしてください。
畳は湿気を吸収するため、湿度が高くなったまま放置するとカビが生えてしまうことがあります。
そんな時は、カビが生えたカ所にエタノールを吹きかけ、しばらく置いておきましょう。
その後、乾いたタオルでカビを拭き取ります。
黒カビなど、雑巾では簡単に取れない場合は歯ブラシなどで優しくこすった上で拭き取ります。
その後、畳に湿気を残さないようしっかり乾燥させてください。
い草や藁床を使っている畳はダニが繁殖しやすい場所のひとつ。
もし、ダニが発生してしまったら対処方法で最も効果的なのは「乾燥させること」です。
晴れた日に風通しの良い場所に干したり、布団乾燥機を使ったりして、畳を乾燥させることで駆除することが可能です。
それでも解決しない場合は、駆除業者に依頼するか、畳の交換を検討しましょう。
最近の畳はい草や藁床を使用していないものが多く、畳の交換だけで根本的な原因を解決できるかもしれません。
畳の上に重いものを置いたら、へこんでしまったということがありますよね。
ベッドやラックの足の跡がついてしまった場合などは「アイロン」を使って直しましょう。
方法は簡単で、へこんだ部分にかたく絞った雑巾を当て、その上からアイロンをかけるだけ。
最後は乾拭きして、しっかり乾燥させるようにしてください。
畳のお手入れで、注意しておくべきポイントがいくつかあります。
間違ってしまうと畳へのトラブルに繋がってしまう可能性があるので注意してください。
ほうきや掃除機、雑巾など、すべてに共通して言えるポイントとして、掃除するときは畳の目に沿って、ほうきや掃除機を入れることを心がけてください。
畳の目に逆らって掃除をすると、畳が傷ついてしまうだけでなく、目にゴミが引っかかってうまくゴミを取り切れない可能性があります。
畳掃除の目的は畳をキレイな状態で保ち、長持ちさせること。
それなのに、汚れが取れにくく、畳を傷つける掃除方法をしてしまっては意味がありません。
目に沿って掃除をするかしないかで大きく結果が変わってくるので覚えておきましょう。
家庭用の掃除アイテムとしてよく登場するのが重曹やセスキ炭酸ソーダです。
大掃除のアイテムとして、常備している方も多いと思いますが、畳への使用は避けた方が無難です。
アルカリ性の重曹は掃除の後、そのまま残ってしまうとシミになってしまう可能性があります。
黒カビへの対処には重曹が効果的ですが、もし使用する際にも少量にとどめ、畳に残さないよう、しっかりと取り除いてください。
和室の日当たりが良い場合や、天日干しで直射日光を当ててしまった場合などに、畳が日焼けしてしまうことがあります。
これを元に戻すには、「クエン酸」や「酢」を使うと良いと言われています。
実際に、昔からお手入れの方法のひとつですが、新品の畳に使うと悪化してしまう可能性があるためあまりおすすめできません。
また、年数が経ちすぎた畳に使用すると効果がない場合もあり、効き目がある期間も限定されます。
そもそも、い草を使った畳は時間の経過と共に少しずつ変色していきます。
時間の経過と共に色が変色していくものだと思って使用していただいた方が良いでしょう。
畳といえばい草といったイメージが強いですが、近年ではい草を使用していない畳も多くなってきています。
理由は、い草を使った畳に比べてさまざまなメリットがあるからです。
最新の畳のメリットは下記の通り。
最新の畳は、和紙や合成繊維などを使い、い草に近い質感を保ちつつ、い草の持つデメリットを改善しているものが多くなっています。
これにより、カビやダニの発生を大幅に抑えられるようになっています。
い草の畳に水をこぼしてしまった場合、すぐに拭かなければシミになってしまいます。
その点、最新の畳は水に強く、シミになる心配がありません。
そのため、慌てて拭く必要がなく、落ち着いて対応が可能です。
和紙や合成繊維の畳はい草ほど水に対してデリケートではないため、汚れを拭き取るのに濡れた雑巾を使ってもOK。
メンテナンスがしやすく、い草に比べて汚れが取れやすい点も大きなメリットです。
例えば、最新の畳としてよく耳にする「和紙畳」の場合でも水拭き可能です。
和紙と言われると水に弱そうな印象があるかもしれませんが、外側を樹脂でコーティングされているため、撥水加工となっています。
そのため耐水性が高く、普段の掃除で水拭きをしても特に問題がありません。
さらに、セキスイの「MIGUSA」のような樹脂畳はもっと水に強い素材です。
プラスチックの紐を組み合わせて作っているようなイメージなので、洗剤を使って水拭きをしても問題ありません。
い草の畳は定期的に湿気を取るため乾燥させなければなりません。
布団乾燥機を使ったり、畳を剥がして通気性の良い場所に干したりする必要がありましたが、和紙や合成繊維を使った畳はその必要がありません。
そのため、お手入れの労力も少なく、掃除機がけや雑巾がけなどの普段のメンテナンスのみで十分清潔な環境を保てます。
い草の畳同様、和紙や合成繊維を使った畳の掃除も、掃除機がけや雑巾がけの際は畳の目に沿って行います。
い草の畳は耐久性が低いため、目に沿って掃除をする理由は畳を傷つけないことが目的と思われがち。
もちろんそれも理由のひとつですが、畳の目に逆らって掃除をしてしまうと畳の目にゴミが挟まってしまい、キレイに掃除ができないことも理由のひとつです。
い草も、和紙や合成繊維も、畳の構造は大きく変わらないため、掃除機や雑巾は目に沿ってかけるようにしましょう。