川田畳製作所

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畳の上に敷くフローリングマットに注意!カビ・ダニを防ぎつつコストを抑える賢いリフォーム術

2024.11.01

「畳をフローリングに替えたい」
「畳の上にフローリングマットを敷くのは衛生的にどうなの?」
「畳の上にフローリングマットを敷くだけなら簡単にできる?」
など、畳の部屋を費用を抑えながらリフォームをすることを検討している方は少なくないようです。

畳の痛みが目立ってくると、裏返しや表替え、新調をして畳を新しい状態に一新するのが一般的です。
この時、フローリングへのリフォームも合わせて検討する方もおり、
「リフォームまですると高いけれど、上にマットを敷く程度なら費用を抑えられる」
ということで検討されるのが、ただ敷くだけでリフォームできてしまうフローリングマットというわけです。

フローリングマットは畳の上から敷くことで畳の部屋を誰でも簡単に洋室風にリニューアルできる人気アイテム。
しかし、カビやダニが発生するデメリットもあります。
そこで、今回はフローリングマットの設置に関するメリット・デメリットをご紹介します。
ケースに合わせたおすすめチョイスもご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

畳の上からフローリングにするメリットとデメリット


畳の上からフローリングマットを敷き、簡単に和室を洋室にリフォームする方法が近年、関心を集めています。
最近の家は特に、和室がリビングに併設されており、純和風というよりはシンプルモダンな雰囲気になっているケースが少なくありません。
そのため、現代的な雰囲気に合わせられるケースも多く、畳の空間をフローリングに変えてもそれほど違和感なく施工できる場合も少なくありません。
一方で、畳の持つ機能や特性が失われてしまう懸念もあるため、まずは畳とフローリング、それぞれの特徴を理解した上でどちらをチョイスするか検討をしていきましょう。

畳とフローリング、それぞれの特徴

畳は伝統的な日本の床材で、フローリングに比べて柔らかく、衝撃を吸収するため転倒時にも怪我をしにくいという特徴があります。
さらに、畳の素材となる「い草」に湿度を調節する効果があるため、湿度が高い季節には湿気を吸収し、乾燥している季節には湿度を放出してくれます。
その他、防音効果や断熱効果などもあり、子供から高齢者まで、生活する人に優しい素材となっています。

フローリングはモダンで清潔感のある空間作りが可能で、洋風のインテリアともよくマッチするため現代的なデザインに適しています。
畳に比べて掃除にそこまで気を遣う必要がなく、丈夫で長持ちな上、メンテナンスにもそこまで気を使わなくて済む点が大きなメリットです。
一方、防音効果や断熱効果、クッション性などが低いため、冷暖房を設置したり、クッション材を敷いたり、アイテムと併用することも快適な生活を実現するポイントのひとつです。

畳の防音・断熱効果とフローリングの違い

意外と軽視しがちな防音・断熱効果ですが、実は住環境において非常に重要なポイントのひとつです。
畳は足音や物音を吸収しやすく、クッション性があることで衝撃を緩和する性質も持ち合わせているため、例えば二階に設置すれば階下への音漏れを防ぐ効果があります。
畳からフローリングに変更すると防音効果が弱まるため、ただ床材を変更するだけではなく、防音シートを敷くなどの対策も必要となります。
また、畳は素材の中に空洞が多く、空気は熱を通しにくいことから室内の温度を保ちやすくなります。
そのため、冷房で冷えた空気や暖房で温まった空気が室内に留まりやすいメリットがあります。
さらに、床材自体の温度も異なるため、フローリングの場合は特に冬場、暖房を使ったりラグを敷いたり、寒さ対策が必要となってきます。

畳上のリフォーム方法の選び方【貼り付け vs 撤去】

畳の部屋をフローリングにするには、大きく分けて二つの方法があります。
どちらもメリット・デメリットがあるため、どちらがより生活スタイルに合っているかを加味しながら検討しましょう。

ひとつは畳の上からフローリングマットを敷く方法。
畳をそのまま残した上で直接フロアタイルやクッションフロアを敷くもので、業者にお願いしなくてもやり方を調べれば自分でもできるくらい簡単に施工が可能です。
そのため、短期間かつ低コストで済む上、マットの下には畳があるので、見た目はフローリングでもクッション性や防音断熱効果を維持することができます。
ただし、畳の上にフローリングを敷くため、床が平らにならない可能性が高いです。
さらに、畳の上にマットを敷くため湿気の逃げ道がなくなってしまい、畳が湿気を溜め込んだ結果カビやダニが発生するリスクがアップします。

もうひとつは畳を撤去し、フローリングにリフォームする方法。
本格的なリフォームになるため、床がしっかりと平らになり、完全な洋室になります。
当然、カビやダニの発生リスクはなく、清潔で快適な環境が実現できます。
一方で、畳を撤去したり、断熱シートや防音シートを敷いたりと本格的な施工が必要になるため、工期もコストもフローリングマットに比べると大幅にアップします。

フローリングマットで畳を残したまま簡単リフォーム

並べるだけでフローリングスペースが作れるフロアタイルやクッションフロアはちょっとしたリフォームに便利なアイテムですが、自宅で床をDIYするなら、フローリングマットを使うのが一番手っ取り早い方法かもしれません。
フローリングマットとは、木目やタイルなどの模様が描かれた大きめのマットを敷くだけで、床がフローリングやタイルのような雰囲気になるアイテム。
カーペットやマットなどさまざまなタイプがあり、好みのものをチョイスするだけで誰でも簡単に床のイメージを変えることが可能です。
フローリングマットはホームセンターやインターネットなどで簡単に購入でき、作業もそれほど難しくないため、手っ取り早く自分で施工してしまいたい方におすすめです。
ただし、フローリングマットはフロアタイルやクッションフロアと同様、畳の上から直接敷くものなので、畳に湿気が溜まり、カビやダニが発生するリスクが高くなります。
長期間使い続ければ続けるほど衛生面での懸念が出てきますので、健康面での悪影響などの心配がある場合は注意が必要です。

畳を撤去してからの本格的リフォーム方法

畳を完全に撤去してしまう場合、本格的なリフォームになるため施工業者に依頼する必要があります。
和室から洋室への本格的な改装となるため、畳を撤去し、下地を整えた上でフローリングを敷設する流れになります。
さらに、せっかくリフォームするなら床だけでなく和の雰囲気の壁紙や床の間、押し入れなども合わせて洋風にするケースが多いです。
そのため、フローリングマットに比べて大幅にコストがかかってきます。

費用と工期の目安


畳からフローリングへのリフォームを考える際、気になってくるのが「費用」と「工期」ですよね。
リフォームの方法や選ぶ素材などによって、かかる金額も時間も大きく異なります。
項目別に具体的な内容を記載していきますので、ぜひ参考にしてください。

畳上リフォームの費用と時間【工法別】

畳の上にフローリングマットやフローリングパネルを被せる場合、DIYと業者に依頼する場合の2パターンがあります。
DIYの場合は施工の費用がかからないためかなり節約が可能です。
畳とマットの間に防湿シートを入れてもだいたい4,000円〜5,000円プラスになる程度で可能です。

●フローリングマットの場合
1㎡あたり:2,000円〜5,000円程度
6畳(約10㎡)の部屋であれば12,000円〜30,000円程度
施工業者に依頼する場合:5,000円~20,000円程度
作業時間:半日程度

●フローリングパネルの場合
1㎡あたり:3,000円〜8,000円程度
6畳(約10㎡)の部屋であれば30,000円〜80,000円程度
施工業者に依頼する場合:50,000円~100,000円程度
作業時間:1日〜2日

畳撤去からフローリング設置までの相場と期間

畳を撤去し、フローリングに本格的にリフォームする場合、DIYはさすがに無理なので業者に依頼する必要があります。
費用や工期は大幅に増えますが、違和感のないフローリングに仕上がります。
ただし、普通は壁や襖なども合わせて洋風に整えなければ、極端な話、襖の部屋がフローリングになっているような、違和感のある空間になってしまいます。
当然、施工内容が追加になれば金額も期間もその分追加になるため、費用も数十万から、高い場合は100万円を超えることもあります。

撤去費用:1畳あたり3,000円~5,000円程度
6畳(約10㎡)の部屋であれば18,000円~30,000円程度
古い畳や傷んでいる畳の場合、さらに追加で費用がかかる可能性もあります。

施工費用:1畳あたり2,000円〜15,000円程度
6畳(約10㎡)の部屋であれば20,000円〜150,000円
素材によって費用が大きく異なり、クッションフロアなどの安価な素材であればかなり費用も抑えられます。
合板を使う場合は6畳で50,000円〜100,000円程度。
無垢材を使う場合、6畳でも素材によっては10万円を軽くオーバーします。

工期:畳の撤去とフローリングの設置をする場合、3日〜7日程度かかります。

業者選びのポイント


フローリングへリフォームは、業者によって価格が大きく変化します。
そのため、複数の業者から見積もりをとることをおすすめします。
また、業者選びの際は、施工事例や口コミなどを事前にチェックしておくことも大切です。
アフターフォローや保証の内容なども含めて事前に確認しておきましょう。

なぜ、畳の部屋をフローリングにしたいのか

畳の上にフローリングマットを敷く場合、費用はかなりリーズナブルに抑えられますが、カビやダニが発生する可能性が高く、健康面への影響が心配です。
和室を完全にリフォームしてしまう場合、問題は解決できるものの、金額がかなり高額になってしまうため、そこまでして和室を洋室にする必要があるのかと考えてしまいます。
そこで、もう一度「なぜ畳の部屋をフローリングにしたいのか」について改めて考えてみましょう。
主な理由として上がってくる懸念点は下記の3点。

洋風にして、現代的なインテリアを配置したい

近年、インテリアがどんどん洋風化していく中、和のインテリアを探すのも大変になっています。
フローリングは洋風でモダンなデザインにマッチしやすく、シンプルで清潔感のある見た目を好む方や家具配置の自由度アップを求める方からの需要が高まっています。

掃除やメンテナンスが大変なので煩わしい

畳はほこりがたまりやすく、こまめに掃除や換気をしなければダニやカビが発生する危険性があります。
一方、フローリングの場合は掃除が簡単でカビ・ダニの発生確率も低め。
そのため、アレルギーの方がいるご家庭では、健康面を考慮してフローリングを検討する方が多いです。

長期間使用できる、耐久性の高い床にしたい

畳はフローリングに比べて傷つきやすく、使い続けると凹みや擦り切れが目立ってきて、交換が必要になります。
一方、フローリングは耐久性が高く、長期間使用することができるためコストを抑えることができます。
定期的な畳の交換に煩わしさを感じている方は、フローリングへのリフォームを検討されるケースが多いです。

畳からフローリングにする際のよくある質問


畳の部屋をフローリングにリフォームする場合、その過程でいくつか問題が出てくるケースがあります。
検討段階で知っておきたいポイントについてご紹介します。

フローリングマット設置後のカビ対策やメンテナンス

畳の上に直接敷くタイプのフローリングマットは、湿気がこもりやすくカビやダニの発生リスクがアップします。
特に湿度の高い時期は注意が必要。
定期的に換気をしたり、フローリングマットを取り外して掃除をしたり、日々の管理をすることでカビやダニの発生率を下げることができます。
また、畳とフローリングマットの間に防湿シートを敷くことで、湿気の影響を軽減できますが、過信は禁物。
結局掃除や換気に気を遣う必要があるため、カビ・ダニの発生を気にする場合、メンテナンス的な意味でのメリットはありません。
もし、フローリングマットを畳の上に設置する場合、ある程度カビ・ダニの発生は覚悟の上で、一時的な床材として割り切って使用することをおすすめします。

ペットや子供のための最適なフローリング材選び

ペットや小さなお子様がいる家庭では、フローリングの材料選びは非常に重要になってきます。
ポイントは滑りにくい素材で転倒リスクを避けること、丈夫な素材で耐久性を上げること、防音効果や断熱効果の高い素材を選ぶことが大切です。
例えば、畳は耐久性は低いですが、転倒リスクと防音効果・断熱効果は高く、こまめに掃除さえしていれば、子供やペットのための快適なスペースづくりが可能です。
一方、フローリングは耐久性は高いものの、転倒による怪我のリスクや床が滑りやすいことでペットが骨折してしまうリスクが発生します。
また、防音効果や断熱効果をアップさせるため、防音シートや断熱材を入れたりしなければなりません。
冬のフローリングは特に冷えるので、暖房器具を購入するなど、畳に比べてやや出費が嵩む傾向があります。

洋風の雰囲気に合って長持ちする畳はないの?

最近増えている樹脂系の畳は、い草に比べて耐久性が高く、カビやダニの発生率が大幅に軽減されています。
畳本来のクッション性や吸音効果、断熱効果はそのまま維持しているため、フローリングに比べてペットや子供に配慮した空間づくりが可能です。
加えて、日々のメンテナンスが楽になっていたり、複数の種類からカラーを選べたりと、従来の畳に比べてかなり洋風の空間作りができるようになっています。
フローリングと比べると耐久性が下がるほか、い草畳が持つ特徴のひとつである吸湿効果を持っていないなど、いくつかの懸念点はありますが、それを補って余りある性能を持っています。

フローリングマットの使用はあくまでも一時的な対策で

畳の上にフローリングマットを使う場合、ご自身での施工もでき、お手軽で簡単ではありますが、長期の使用は避けることをおすすめします。
大きな理由として、畳は本来床材ではないため、床材に適していないことが挙げられます。
文中でも説明した通り、畳の上にマットを敷くと湿気を溜め込んでカビやダニなどが発生しやすくなるため、衛生環境が悪くなってしまう可能性があります。
フローリングマットの下なので表面には出てきませんが、室内の空気が悪くなり、アレルギーの原因になってしまう場合もあります。
また、畳自体が劣化してくると中に空気が入ってふわふわしたり場所によって凸凹になってしまったりします。
そのため、長期的に考えるのであれば、完全にリフォームしてしまった方が良いでしょう。

最新の畳を使ったリフォームもおすすめ

最近では、畳にもさまざまな種類があり、特に樹脂でコーティングされた和紙畳や、ストロー状の樹脂を使った樹脂畳も開発されています。
どちらの畳もダニ・カビに強く、い草の畳よりも丈夫で長持ち。
カラーバリエーションも豊富なので、例えば黒や白など、洋風の雰囲気にも合わせやすくなっています。
費用も完全にリフォームをするのに比べると安価なことが多く、定期的なメンテナンスは必要になるものの、耐用年数も長めなので安心です。
フローリングへのリフォームを考える前に、一度最新の畳の情報もぜひチェックしてみてください。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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