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和紙畳を選ぶと後悔する?い草との違いやメリット・デメリットについて

2024.08.01

近年、畳を新調したり、張り替えたりする際に、和紙の畳を検討される方が増えています。

「畳をずっと鮮やかな緑色で保っておきたい」
「い草の畳よりも和紙畳の方が丈夫だと聞いた」
など、理由はさまざまです。

ところが、実際に和紙畳に交換された方の中には

「い草の畳の方が良かった」
「和紙の畳に替えて後悔した」
といった方もいらっしゃるようです。

そこで、今回は和紙畳とい草畳の違いやメリット・デメリットなどをご紹介します。
和紙畳を選んだ後で後悔しないためにも、まずはその特徴についてしっかりと覚えておきましょう。

和紙畳を選んだ時の後悔ポイント

実際に和紙の畳を選んだ上で後悔される方の多くは、少なからずい草の畳をイメージされていることが多いようです。
そのため、替えた後でい草畳の良かった部分に気付かされ、「い草の畳にしとけば良かった」と思う場合がほとんど。
まずは和紙畳とい草畳の違いに触れながら、後悔の原因となるポイントをいくつかご紹介します。

い草の香りがしない


当然のことですが、和紙の畳はい草の香りがありません。
香りがないということ自体は、ほとんどの方が最初から分かっています。

「香りがしなくなるくらい別にどうということはない」
と思って和紙畳に交換される方も少なくないでしょう。
ただ、実際に交換してみると、和室に入った瞬間に大きな違和感を覚えるはずです。
そこで初めて、見た目が畳の部屋なのにい草の香りがしないことを実感し、
「やっぱりい草の香りがしないのは寂しい」
と、思ってしまう方もいらっしゃるようです。

さらに、調査によるとい草の香りにはさまざまな効果があることが実証されています。

これまでい草の畳で慣れている方にとっては、和紙畳に変えると上記がすべて失われることになります。
そのため、「畳を変えてから寝付けなくなった」「和室にいてもいまいち落ち着かない」など、後悔の原因となる可能性があります。

クッション性が低く固く感じる


和紙畳は和紙をこよりのように丸めてストロー状にし、樹脂でコーティングしたものです。
そのため、同じくストロー状のい草と比較してもかなり近い感覚を得られます。
とは言え、全く同じものではなく、今まで使い続けてきたい草と比較すると硬いと感じる可能性が高いです。

ただし、あくまでも硬く感じるという程度のこと。
フローリングのように硬いわけではなく、クッション性も確保されているため転んだ時にい草の畳よりケガをしやすいといったことは言われていません。
そのため、い草とは感覚が違うため、畳とは別のものだと感じてしまい、後悔する方が一定数いらっしゃるようです。

重いものを置いた時に型がつきやすい


和紙の畳はい草に比べて跡がつきやすく、凹みが元に戻りにくいです。
主な原因は畳床に木製ボードが使用されている点が大きいと考えられています。

軽いものは表面に出ている畳表のみの問題となるため、ストロー状になっている表面が圧迫されても、その原因がなくなれば元に戻ります。
しかし、畳床となっているボードが重い物によって凹んだ場合、元に戻らないため型がついてしまいます。
一方、い草の畳には藁床が使われており、藁はい草同様、柔軟性の高い素材のため重い素材によって沈んでもそれを移動させると比較的元に戻りやすいと言われています。
そのため、和紙畳の上にテレビや家具、ベッドなど、重いものを置く場合は注意が必要です。

調湿効果がない


い草の畳には湿度が高い時には水分を吸収し、乾燥している時には水分を放出するという、調湿効果があります。
しかし、和紙畳の調湿効果は0ではないものの、効果はかなり低くなっています。
実際に「い草の吸放湿性」を調査したところ、国産のい草がそれぞれ40%程度あったのに対し、中国産のい草は約30%程度、和紙畳に至っては10%前後しかないという結果が出ています。
そのため、い草に比べて湿度が高い梅雨時にジメジメしたり、冬場に乾燥し、よりひんやりとした感覚になるなどのデメリットがあります。

い草の畳よりも金額が高い


和紙畳はい草の畳よりも1畳あたりの金額が高いです。
例えば、い草の畳の中でも最も安い中国産の畳であれば最安値で5,000円程度。
一方、和紙畳の場合安くても1畳で1万円程度はかかります。
そのため、額面だけ見るとかなりコストアップに感じてしまい、後悔する方もいらっしゃるようです。

ただし、金額に関しては少し誤解もあるようです。
それは、最も安い中国産のい草は国産のい草に比べて傷つきやすく、裏返しや表替えまでの耐用年数が通常5年と言われているところを、3〜4年程度しか持たないことも少なくありません。
一方で、和紙畳はい草に比べて丈夫で長持ち。変色もしにくいため、通常5年と言われている耐用年数を超えて、6〜7年程度使えることも少なくありません。
そのため、トータルコストを考えるとそこまで大幅に金額がアップしているわけではないことが多いです。

とは言え、傷つかないわけではないため、硬いものが擦れて表面が傷ついてしまった、タバコを落として表面が焦げてしまったといったことは起こります。
5年以上は交換しなくても使えると思っていたのに、実際には使えなかったとなると割高感が出てしまい、後悔してしまうこともあるかもしれません。

修理費用が高い


前述の通り、和紙畳はい草畳に比べて金額が高いため、表替えの費用も高くなります。
畳の張り替えは、新調→裏返し→表替え→裏返し・・・となります。
裏返しは使用している畳表をひっくり返すだけなのでい草畳でも和紙畳でも金額は変わりません。
そのため、2回に1回、い草畳よりもかなり高いメンテナンスが必要となります。

一方、こちらも金額の項目で説明した通り、和紙畳の方がい草畳よりも丈夫で長持ちです。
そのため、5,000円の中国産畳が3年で裏返し、次の3年で表替えが必要になったとすれば、6年で5,000円が必要になります。
和紙畳は1万円かかったけれど、6年で裏返し、次の6年で表替えとなった場合、12年で1万円となるため、費用は同じになります。
実際にはい草畳も長持ちするかもしれませんし、和紙畳も早めに交換時期が訪れるかもしれません。
そのため、一概にどちらが得とは言えませんが、一度にかかる費用が高い分、割高に感じてしまう方は多いようです。

喜びの声も多数!和紙畳のメリット

「替えなければ良かった」「い草の方が良かった」といった声が一定数ある一方で、「替えて良かった」という声も少なくありません。
理由はいくつかありますが、その多くが和紙畳を「畳のような床材」として認識していて、い草畳で「煩わしい」と感じていた部分が解消されたため、「和紙畳にして良かった」と思えるようです。
メリットも把握しながら自分ならどちらが強いのかを考えてみましょう。

カビの発生やダニの繁殖が防げる


い草の畳から和紙畳に変える理由として特に多いのが「カビの発生」や「ダニの繁殖」が防げるというメリット。
まず、カビの発生やダニの繁殖の原因のひとつとして挙げられるのがい草畳が湿度に弱い点。
湿気を吸収しやすいため、畳の上に敷物を被せるとより湿度が高くなり、カビの発生、ダニの繁殖につながります。

次に、畳の目がい草畳の方が粗く、和紙畳の方が細かい点。
目が荒いと水分は浸透しやすく、ダニやカビも畳の目の内側に入り込みやすくなります。
一方で、水分を通しにくい和紙畳はダニも内側に侵入しにくくなっています。

カビの発生やダニの繁殖によって畳をすべて張り替えなければならなくなった場合、その再発率を大幅に軽減できる和紙畳は非常に魅力的。
室内を清潔に保てる上、メンテナンスも楽なのでい草畳よりも気に入っているという方も多いです。

衛生的で手入れが楽


い草畳に比べ、和紙畳の方が衛生的と言われています。
これは、カビの発生やダニの繁殖が少ないという点にも通じており、和紙畳はこまかな隙間が少いため、カビやダニだけでなく、埃やゴミ、食べこぼしなどが畳の隙間から入り込む心配がありません。

加えて、和紙畳は表面を樹脂でコーティングされているため、水をこぼしても中に浸透しにくい仕組みになっています。
い草畳であれば液体をこぼした瞬間、慌てて拭くものを探し、数秒で拭き取ることができたとしてもかなりの量が浸透してしまっています。
一方で、和紙畳は少し余裕を持って拭くものを用意したとしてもほとんど内部に浸透せず、畳の表面で水分が玉になっている可能性が高いです。
そのため、簡単に拭き取ることができ、衛生的な環境を保てます。

お手入れが楽


畳の内部にカビやダニ、埃などが侵入せず、液体をこぼしてもすぐに拭き取れる和紙畳は、い草の畳に比べてメンテナンスが簡単で、清潔な環境を保ちやすいです。
例えば、掃き掃除や掃除機がけも、基本的に畳の目に沿って行うのはい草畳と同じですが、それでもい草畳の場合は小さなゴミが畳の目に挟まってしまうことが少なくありません。
また、表面を傷つけないためにかなり気を遣いながら掃除をする必要があります。
一方、和紙畳であればそういった心配が少なく、掃除も簡単です。

さらに、い草畳は調湿効果があるため、梅雨時などの湿度が高い時期は定期的に換気をしておかないと畳が湿気を吸収し過ぎて畳にカビが発生しやすくなってしまいます。
一方、調湿効果がほとんどない和紙畳はカビが生える可能性が極めて低いため湿度が高い状況でも換気を必要としません。
そのため、自分のタイミングで換気をするだけでOKです。

耐久性が高く長持ちする上、色褪せにくい


畳の表面を樹脂でコーティングしている和紙畳は、い草の畳に比べて丈夫で長持ち。
実は、い草は熱に弱く、温度が高い夏の方が耐摩耗性が低くなるという実験結果が出ています。
そして、最も快適な20度前後の環境でも、和紙畳の方がい草畳に比べて約3倍の耐摩耗性を兼ね備えています。
そのため、経年劣化が少なく、い草の畳に比べて長期間使用することが可能です。

さらに、長期使用として忘れてはならないのが変色や日焼け。
い草の畳は最初は鮮やかな緑色なのに、小麦色に変化し、最後は黒っぽい色になっていきます。
しかし、和紙畳はほとんど変色がありません。
鮮やかな緑色の畳は何年経っても鮮やかな緑色のまま。
もちろん、多少色褪せたりはしますが、い草の畳に比べるとほとんど気にならない程度の変化と言えます。

色のバリエーションが豊富


和紙畳の魅力と言えば、やはり色の種類が豊富なところ。
新調したばかりのい草のような鮮やかな緑色が人気ですが、それ以外にも青や黒、白など、洋室のデザインに合わせてさまざまな色がチョイスされています。
ダークブラウンの素材に合わせてスタイリッシュな黒の畳を使ったり、明るい色調の部屋に合わせて淡い緑色の畳を選んだり、部屋の雰囲気に合わせて選べる点は大きな魅力です。

さらに、和紙はもともと紙であるため、プリントが容易にできます。
そのため、個性的なデザインやアートを畳に反映させることも可能です。
和紙の技術を活かし、絵や写真など、今まではできなかった美しい模様を反映させることで独自の世界観を表現することができるのも和紙畳ならではです。

リフォームに比べて断然安い

費用面の感じ方は人それぞれで、「い草の畳に比べると割高」と感じる方も多いです。
しかし「い草の畳ではメンテナンスが難しいのでフローリングにリフォームしたい」となるとどうでしょう。
お部屋のリフォームとなると最低でも100万円程度、部屋の雰囲気も洋室に合わせるとなるとさらに大きな金額になっていきます。
単純に「メンテナンスが大変」「カビの発生やダニの繁殖に困っている」などの理由からフローリングへのリフォームを検討している場合、和紙畳で問題が解決できるのであれば大幅なコストダウンになります。
さらに、カラーバリエも自由に選べる上、変色もしにくいため、和紙畳の方が多くのメリットがあります。

和紙畳のことなら川田畳製作所へ

結論としては、和紙畳とい草畳、それぞれに異なる特徴があるため、「合う方」「合わない方」がいらっしゃるということです。
和紙畳にして後悔する方の多くは、い草の畳が気に入っている方。
和紙畳はい草の畳とは大きく異なるため、い草の畳の効果を求めている場合は「思っていたのと違う」と感じるケースが多いです。
また、い草の畳に比べて費用が高いため「一度の張り替え費用を安く済ませたい方」は、い草を選んだ方がお得感が得られます。

一方、「デザインを楽しみたい方」「カビやダニとは無縁の衛生的な環境を望んでいる方」は和紙畳がおすすめ。
自分の好みのデザインにできる上、衛生的でメンテナンスも楽なため、和紙畳の方が気に入って使えること間違いありません。
さらに、和紙畳の方が色褪せにくく、丈夫で長持ちするため長期的な使用に適しています。
費用も長期的に見るとい草に比べて変わらないか、場合によっては安くなる可能性もあります。
そのため、長期でコストを考えている方は和紙畳を選ぶのがおすすめ。

色のことや金額のこと、畳の張り替えで悩んでいることなどがあれば、まずは畳のプロに相談するのがおすすめ。
い草の畳と和紙の畳、どちらにしようか悩んでいる方は、まずは一度川田畳製作所にお問い合わせください。

川田畳製作所へのご相談はこちら >

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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