川田畳製作所

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和室からフローリングにリフォームする前に知っておきたいこと

2024.07.01

フローリングに比べて畳の方がデリケートなため、日々の換気や掃除が煩わしい印象を持っている方も少なくありません。
そのため、最初は和室が必要だと思っていたけれど、畳を新調するタイミングなどでフローリングにした方が良いのでは?
と考える方もいらっしゃるようです。

一度変えてしまうと「やっぱり畳の方が良かった」と後悔しても元に戻すのは難しいですよね。
そこで、今回は意外と知らない畳のメリットや、フローリングのデメリットがあること。
フローリングにリフォームすることで後悔しないために知っておきたいことについてご紹介します。

和室から洋室へのリフォームは流行っている?


家を建てた時は「来客用」「寝室用」として和室も必要と考え、和室を作ったものの、実際にはあまり使っていないことから洋室にリフォームしたいと考える方は一定数いらっしゃるようです。
和室のデメリットとしては下記が挙げられます。

畳から洋室に変えると起きる変化は?


畳をフローリングに変えることで起きるのは、単純に床材が畳から木材に変わるだけではありません。
もちろん、掃除が楽になった、バリアフリーに対応し、怪我しにくくなったといったことは挙げられるかもしれません。
一方、畳がなくなったことで下記のようなことも同時に発生します。

調湿効果については、い草の畳のみになりますが、夏は湿度を下げ、冬は乾燥を防ぐ効果を持っています。
そのため、畳がなくなることで部屋の湿度が高くなったり、乾燥しやすくなったりします。
無垢材にも同じような効果がありますが、それ以外の床材を使用すると、夏は湿度が上がりやすく、冬は乾燥しやすくなります。

さらに、畳には吸音効果があり、音をある程度吸収してくれます。
そのため、今までと同じように生活していても音や声が外に漏れやすくなるため注意が必要です。

畳に比べて木材は冷えやすく、冬に冷たさを感じやすいと言われています。
エアコンをかけて床が温まるまでは足元がひんやりと冷たくなります。
すでに洋室メインの家で一部の和室を洋室に変えたいということであればそれほど不自由はないかもしれません。
しかし、和室メインの家で、一部の和室だけ洋室に変えたいといった場合、冬は畳に比べて廊下はかなり冷える印象があるでしょう。
これは、廊下はフローリングと同じ木材のため畳以上に冷えやすいことが理由です。

もちろん、絨毯やカーペットを敷くなど、畳にくらべてさまざまな対策が取れるメリットはあります。
また、洋室ではスリッパやクロックスなどを履くことが普通となるため、畳とは生活スタイルが少し変わってきます。
少しでも温かくしたい場合、リフォームの際に断熱材を入れたり、床暖房を入れたりすればもちろん温かくなりますが、コストもその分アップします。

畳の上からフローリングマットを敷くのはアリ?


畳の上にカーペットを敷くような感覚でフローリングマットを敷くことで、フローリングの部屋に低価格でチェンジする方法もあるようです。
和室を簡単に洋室にチェンジできる上、費用も1万円〜2万円程度と比較的リーズナブル。
接着剤が不要で賃貸住宅でも使用できることや、カラーバリエーションが豊富でイメージに合わせた部屋作りができるメリットがあり、人気があるようです。

しかし、畳の上にマットを敷くのはおすすめできません。
見た目のチェンジはできますが、畳はあくまでも床材であり、その上に何かを敷くことを考えて作られていません。
当然、カビが生えたり、場合によってはダニが発生したりすることもあります。
フローリングマットで蓋をされてはいるものの、衛生的に良くない環境になってしまう可能性が高いです。

もし、「部屋のイメージを変えたい」「洋室の雰囲気に合わせたい」といった理由であれば畳の上にフローリングマットの使用はおすすめしません。
最近ではい草以外の畳もあるので、和紙系や樹脂系の畳を使って表替えをすることをおすすめします。

リフォームにかかる費用はどれくらい?


フローリングマットを買ってきて畳の上に敷くだけであればDIYでもできますが、きちんとリフォームをするのであれば専門の業者に依頼する必要があります。
リフォームにかかる費用の目安は下記の通りです。

畳を剥がして床をフローリングに変えるだけで、だいたい20万円〜40万円程度かかります。
ただ、多くの場合和室には襖や障子などをはじめ、和のレイアウトが施されています。
こういったものをすべて洋風に変えるとなると50万円〜100万円程度かかってきます。

かなり高額にはなりますが、昭和の時代に建てられた住宅の場合、和室には砂壁が使われていたり、扉にも襖が使われていたりする場合がほとんど。
床だけフローリングに変えたとしても不自然になってしまうことが多いため、やるなら部屋全体を洋室にリフォームしたいところでしょう。

また、和室は畳を剥がすと畳の厚み分低くなってしまいます。
そのため、小さいお子様や高齢者がいる場合、そのままフローリングにするのではなく、高さを調整するなどの工夫が必要となります。

まずは畳の機能を再確認しよう


畳からフローリングにリフォームしたいという方の中には、畳のままでなんとかなるならその方が良いと思っている場合も少なくないでしょう。
少なくとも、ただ「こまめに掃除をするのが面倒」というだけで数十万円かけてリフォームするという方はほとんどいないはず。
それ以上に和室のままでは難しいという理由があるのではないでしょうか。
ただ、その中には洋室にリフォームせずとも対応できるものも少なくありません。
そこで、畳ならどんなことができるのか、どこまで対応できるのか、一例をご紹介しますのでチェックしておきましょう。

環境は畳の方が快適?

調湿効果や吸音効果、断熱性など快適さだけを考えるとフローリングよりも畳の方が快適という方も多いでしょう。
さらに、クッション性も高いため、転倒した時に怪我をしにくいメリットもあります。
そのため、子育てはもちろん、介護部屋としても決して和室が向いていないわけではありません。

ペットにとって快適なのは和室?


ペットが和室に入ると畳がボロボロになってしまうという方は少なくないでしょう。
そのため、和室よりも洋室の方がペットを飼いやすいとおもってしまいがちですが、実はペット自身はそれほど和室を快適だと思っていません。
理由はフローリングは滑りやすいからです。

人間でも床が滑ると転びそうになったり、最悪転んでしまったりすることがあります。
動物もこれと同じで、床が滑ると驚いたり、体に負担がかかってしまったりします。
そのため、室内犬の多くが腰に問題を抱えているとも言われています。

フローリングと畳となら、ペットにとって過ごしやすいのは畳の方。
とは言え、ペットを畳の部屋で飼うと畳がすぐにボロボロになってしまいます。
そういう時は、ペット用の畳がおすすめ。
い草を使った畳ではないため、どちらかというと畳のような見た目の床材といった感じです。

ペット用畳のメリットは下記の通り。

畳の張り替えは一定の金額がかかりますし、い草の畳ではないので調湿効果もありません。
ただ、ペットにとってフローリングよりも過ごしやすい環境になる上、フローリングにリフォームするよりも安価です。
畳店で張り替えが可能なので、和室をペットの住む部屋にしたい場合は一度相談してみましょう。

畳の部屋で介護は難しい?


介護については、和室、洋室それぞれにメリットとデメリットがあります。
比較的部屋を開け放っていることが多い和室は介護する上で見守りやすく安心感につながりやすい空間です。
掃き出し窓がある場合は外の景色を楽しめたり、部屋から出入りができたりします。

また、畳はクッション性があるため洋室に比べて怪我をしにくい点も介護をする上で安心感に繋がる要素のひとつ。
フローリングの場合、床が冷えやすく、靴下を履くと滑りやすくなるため怪我の心配がアップします。
そう言った意味でも畳の方が介護する上で安心できる床材と言えます。

ただし、畳は福祉用具や機械を使用するには耐久性が低く、汚れやシミもつきやすい素材。
バリアフリーに対応することに合わせて畳の部屋をフローリングに変え、機器を置きやすくしようと考えるご家庭が多いようです。

畳の部屋でも介護用のベッドを置くことはそこまで問題ではありません。
ただ、和室を車椅子で移動するのは難しいです。
介護のレベルを含め、畳の方が良い、畳でも問題ない、フローリングの方が良いが違ってくるので、状況に合わせて検討しましょう。

和紙系、樹脂系の畳に交換

畳の耐久性が低いことや、カビ・ダニの発生が心配なことなどの煩わしさから高い金額をかけてフローリングにリフォームを考えている場合は要注意。
最近は和紙や樹脂など、い草以外の素材を使った畳も多くなっています。
和紙系、樹脂系の畳に交換すれば、耐久性は高く、カビやダニなども発生しにくいため、い草の畳に比べるとかなりメンテナンスが楽になります。

リフォームを考えてまずは工務店に相談するのも一つの手段ですが、畳の張り替えだけで今の悩みをなんとかできないかと思うなら畳店に相談するのおすすめです。

和室をフローリングにリフォームする前に

フローリングの方が和室に比べてメンテナンスがしやすく、最近の新築住宅は洋室がメインとなっていることから和室をフローリングの部屋にリフォームする方も少なくありません。
しかし、DIYなどで数万円でできるような、畳の上にフローリングマットを敷くのは畳にカビやダニが発生する可能性が高いため避けた方が無難です。
ただ、リフォームをするとなると20万円〜100万円くらいの費用がかかってくるため、簡単に進めることはできません。

普段畳の部屋で生活していると気づきにくいですが、フローリングの部屋は「冬に床が冷たい」「調湿効果がない」「吸音効果がない」などの変化があります。
特に、冬に床が冷たいのを解消するためには断熱材を入れたり、床暖房を設置したり、リフォームの費用もかなりアップしてしまいます。

近年では、目的・用途に合わせた特別な畳があったり、和紙・樹脂を使った耐久性が高くカビ・ダニが発生しにくい素材があったり、畳もかなり進化しています。
高い費用をかけなくても畳の張り替えだけで今抱えている悩みが解決する可能性もあるので、まずは一度相談してみることをおすすめします。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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