川田畳製作所

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長持ちする畳ってあるの?畳の素材やお手入れの方法についてご紹介

2024.02.01

畳はい草でできているもの。
フローリングに比べて断熱性や防音性に優れていて、独特な肌触りや香りが特徴。
フローリングの床にそのまま寝転がるのは抵抗がある方が多いですが、畳であればそのまま寝転がってくつろげる方が多いはず。
そのため、客間や寝室など、さまざまなスペースに用いられています。

ただ、畳の部屋はフローリングに比べて快適で過ごしやすい反面、傷つきやすく定期的にメンテナンスが必要です。
一般的には3〜5年程度に1回は畳の裏返しや表替えなどのメンテナンスが必要と言われています。
では、フローリングとまではいかないにしても、もう少し長持ちする畳はないのでしょうか。

今回は、い草以外の素材を使った長持ちする畳のことや、お手入れの方法で変わる畳を長持ちさせる方法についてご紹介します。

丈夫で長持ち!い草じゃない現代の畳


近年、マンションなどでは和室のない住宅が増えている一方で、畳の良さが見直され、新築一戸建てには畳の部屋が取り入れられているケースが増えています。
ただ、畳はフローリングに比べて傷つきやすく、一度傷がついてしまうとそこからどんどん広がっていってしまいます。
便利で使い勝手が良い一方で、メンテナンスが必要な部分は煩わしくもあり、敬遠される原因のひとつでもあります。
そのため、「傷つきにくく劣化しにくい畳」があれば、メンテナンスまでの期間をもっと長く取れるため、もっと便利に使えると考えている方も多いようです。
そこで、近年ではい草を使わず別の素材を用いた丈夫で長持ちする畳が開発されています。

現代の畳はおしゃれ


新築一戸建てに和室を取り入れる際、リビングと隣接、もしくは併設させた和室がほとんどです。
和室を純和風の部屋にするとリビングとは雰囲気がかけ離れてしまうため、洋風の部屋の雰囲気に合ったデザインが好まれています。
具体的には、縁をつけない正方形の畳が用いられることが多く、色も白や青など通常の畳とは異なるデザインが採用されることも少なくありません。

現代の畳は変色しにくく、い草の畳のように新調した時は淡い緑色だったものがだんだん小麦色になっていくようなことにはなりません。
日焼けなどで、多少色の変化があったとしても淡い緑色の畳は何年経っても淡い緑色のままです。
そのため、新調したばかりのい草の色にしておけば、同じ色をずっと楽しむことが可能です。

さらに、和紙や樹脂を使っているため素材の色を変えればさまざまなカラーにも対応可能。
黒や白、青などのバリエーションはもちろん、濃淡を含めた2色、3色の素材を使った畳も制作可能です。

現代の畳が丈夫で長持ちする理由


現代畳がい草の畳に比べて長持ちする理由は、畳の表面の強度がアップしているからという理由だけではありません。
例えば、畳を支える土台部分、畳床はもともとは藁を使ったものが多かったですが、現在は木材チップでできた板やスタイロフォームなどが使われています。
そのため、クッション性や断熱性、カビやダニへの耐久性など、さまざまな面で藁に比べて長持ちするようになっています。

また、畳縁もないものが多くなっています。
畳縁は畳を補強する役割を持っており、ないよりあった方が耐久性はアップします。
ただ、もともとの畳の耐久性がアップしているため、側面が擦れても十分に強度が保てるようになっています。
そのため、和紙や樹脂の畳を使用する場合、畳縁はなくてもそれほど問題にはなりません。

い草と現代畳のメリット・デメリット


畳は主に「畳表」「畳床」「畳縁」の3種類から構成されています。
最近の住宅では畳縁を使用していない、畳表と畳床の構成となっているものが多いです。
畳表はい草、和紙、樹脂でそれぞれにメリットとデメリットがあるため、それぞれの特徴を押さえた上で、最もお好みのものを選びましょう。

伝統的な畳表い草


い草は畳に使われている植物の名前。従来のい草を使った畳み表は、素足で触れた時の肌触りやクッション性など、天然素材ならではの魅力があります。
また、い草の香りにはリラックス効果があると言われており、天然のアロマのように安眠できる効果がある点も魅力です。

●い草を使った畳表のメリット

●い草を使った畳表のデメリット

日本の伝統和紙を使った畳


最近では、和紙をこよりのように丸めてストロー状にし、い草と同じような質感や弾力を再現させつつ、表面を樹脂でコーティングすることにより劣化しにくくした和紙の畳が人気。
和紙の色を変えることで、カラーバリエーションも豊富に展開されており、リビングと併設させてもデザインを統一しやすい点も魅力です。

●和紙を使った畳表のメリット

●和紙を使った畳表のデメリット

樹脂を使った畳

ポリプロピレンというプラスチック素材を使い、ストローのような樹脂を束ねて組み合わせたのが樹脂を使った畳。
耐久性はもちろん耐水性にも非常に優れているため、人の多い場所や湿度の高い場所などに敷いても問題なく利用が可能。
畳のような質感からは大きく離れますが、耐久性は抜群に高いのが特徴です。

●樹脂を使った畳表のメリット

●樹脂を使った畳表のデメリット

畳床のメリット・デメリット

畳床は、大きく分けると天然素材の藁、木材チップを繊維化したボード、スタイロフォームの3つ。
畳表と同様、それぞれに異なる特徴があるのでチェックしておきましょう。

天然素材の藁

伝統的な畳床といえば、稲藁を使った畳床。
稲藁の割合が高いほど高級とされていますが、よほど純和風の畳を好んで使う目的でもない限り使われることはなく、減少傾向です。

●稲藁を使った畳床のメリット

●稲藁を使った畳床のデメリット

価格の安いポリプロピレン

ポリスチレンフォームという発泡させたポリスチレン樹脂のボードを藁の床材で挟み込んだ畳床のことを「ワラサンド」と呼んでいます。
ポリスチレン自体は藁に比べて価格もリーズナブル。
表面を藁で覆われているため本来の畳に近い質感を保てる点も魅力ですが、弾力が藁の畳床に比べてやや劣ります。

●ポリスチレンを使った畳床のメリット

●ポリスチレンを使った畳床のデメリット

丈夫で長持ちする木材の畳床

木材と言っても板ではなく、木材を砕いたチップをさらに細かい繊維状にした上で板状に再成形したもの。
耐久性が高く手入れも簡単で、価格も比較的リーズナブルなので、現代の住宅の多くに採用されています。

●木材チップのボードを使った畳床のメリット

●木材チップのボードを使った畳床のメリット

い草の畳を長持ちさせるために必要な5ポイント

い草の畳は耐久性が低く、水にも弱いため、長持ちさせるには大切に使っていく必要があります。
特に、放置しているとどんどん劣化してしまうため、日常のお手入れは欠かせません。

「い草の畳が良いけれど、できる限り長持ちさせたい」

という方は下記5点を意識して日々のお手入れをしましょう。

週に1回は換気する


い草の畳のメリット・デメリットにもあるように、い草には調湿効果という優れた性能があります。
この効果により、乾燥している時は水分を放出し、湿度が高い時は水分を吸収してくれます。
ただし、梅雨時に吸湿剤を置いておくとかなり水分を吸っているように、畳も湿度が高い時はかなりの水を吸収します。
その上、決して水分に強い素材ではないためそのまま放置するとカビが生えてしまう可能性も高くなります。
定期的に換気し、畳が水分を吸収し過ぎないようにしましょう。

掃除の際に畳を傷つけない


畳はフローリングと違い、直に座ったり寝転がったりする可能性のある場所。
フローリングではスリッパを履いていても畳だと脱いでから上がる場合がほとんどですよね?
そのため、こまめに掃除をする必要があります。

掃除をする時は畳の表面を傷つけないように注意が必要です。
そのためには、畳の目に沿って掃除機をかけたり、箒で掃いたりする必要があります。
目に逆らうと畳を傷つけてしまう可能性があるので注意しましょう。

水ぶきせず乾拭きで掃除する


畳は水に弱い上、水分を吸収してしまうため、水拭きでの掃除は厳禁です。
基本的には乾拭きの雑巾で拭くようにしましょう。
汚れなどが気になって、どうしても水拭きが必要な場合は硬く絞って水分をできる限り少なくした上で拭くようにしてください。

い切れをハサミで切り取る

い切れとは、畳のい草の断片が表面に出てきているもの。
これが表面に覗いている場合、まずは切れ端をハサミでカットしましょう。
その上で、い草の編み込みの中に入るよう指で馴染ませます。
爪で広げて無理やり押し込んだりゴシゴシ擦ったりすると傷つく原因となってしまうので、あくまでも優しく扱うのがポイントです。

畳を長持ちさせるポイントまとめ

畳には大きく分けるとい草、和紙、樹脂の3種類があります。
い草の畳は耐久性に不安があるため、長持ちする畳ということであれば和紙や樹脂の畳を選ぶことをおすすめします。
和紙の畳は質感がい草に近く、樹脂の畳は水に強い特徴があるため、使用する場所や状況なども合わせてチョイスしましょう。
また、畳床も藁ではなく木材チップのボードやポリスチレンなどを使ったものの方が軽くて丈夫で長持ちします。

い草の畳を使う場合、どうしても傷つきやすいので耐久性が落ちてしまいます。
長持ちさせるコツは傷つけないように注意することと、畳を湿気から守ること。
そのため、換気をする、水拭きはしない、掃除は畳の目に沿わせる、い切れはカットするといったことに注意しましょう。
畳の掃除メンテナンスについては他のブログでも詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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