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畳もシロアリのエサになる?事前の対策と被害に遭った時の対処法

2023.12.01

畳の被害と言えばダニやカビなどを想像する方が多いですが、実はシロアリによる被害も少なくありません。
シロアリは一般的に木材を食べる害虫として知られていますが、家の断熱材や基礎のコンクリートなども被害に遭うことがあり、畳もそのひとつとなっています。

「なんだか畳がふにゃふにゃする」
「傷や汚れとは違う変色や破損がある」

といった場合、シロアリによる被害を疑ってみるべきかもしれません。
そこで、今回は畳のシロアリ被害に関する影響や対策についてご紹介していきます。

シロアリは何を食べる?


シロアリが食べるものと言えば木材ですが、その理由は木に含まれるセルロースやヘミセルロースが好物だからです。
しかし、実際に被害に遭うのは木材だけではなく、畳や段ボール、プラスチックからコンクリートまでさまざま。
そのため、木造の住宅だけでなく、鉄骨の住宅なども含めて被害に遭う可能性があります。

シロアリはなんでも食べるということを覚えておきましょう。

シロアリが好む環境


では、シロアリはどのような環境を好むのでしょうか。
実はシロアリは湿度70%〜80%の、他室の環境を好みます。
そのため、吸湿効果があり、一定の湿気を含んでいるい草の畳はシロアリにとって非常に生息しやすい環境と言えます。

さらに、ダニであれば実害をかなり防ぐことができる和紙や樹脂系の畳も、コンクリートを食べてしまうシロアリにとって障害にはなりません。
シロアリは木材を食べながら中に巣を作る修正があるため、働きアリのように1匹だけで行動することはまずありません。
そのため、畳の上に1匹見つけると、その中にたくさんのシロアリが潜んでいる可能性があります。

シロアリはかなり弱い生き物

私たちからすると、住宅に大きな被害を与えるシロアリはかなり脅威の存在に感じてしまいます。
その上、コンクリートまで食い破って侵入してくる力を持っており、かなり強い存在のように感じてしまいます。
ところが、シロアリは生態系で見ると、かなり弱い存在。

自然光や風などに数分間触れただけで干からびて死んでしまう上、黒蟻などの昆虫に見つかると餌として捕食されてしまいます。
そのため、木材をはじめとする巣穴の中に潜んで生活していることがほとんどで、私たちが目にするのはシロアリの被害にあった時を除くと一年に一度、羽アリが巣別れのために飛び出す時だけと言われています。

シロアリはどこから来る?

日本のシロアリ被害のほとんどが、家屋の基礎の小さな隙間から入り込み、家の中のさまざまな場所に住み着く流れです。
シロアリは蟻道と呼ばれるトンネルのようなものを地中に掘って移動しています。
そのため、近くに木がないからといって安心はできません。
また、シロアリの被害に遭っている倒木などが近くにあった場合蟻道を通って侵入される可能性が高いため、周囲にそういったシロアリ被害に遭いそうなものがないかを確認することも重要です。

暗くて適度の湿気があり、なおかつ外敵のいない床下や畳などはシロアリにとってかなり住み心地の良い場所と言えます。
侵入されてしまうと、ある程度湿気のある洗面所や風呂場、トイレ、日光の当たらない押し入れの中などの場所は特にシロアリから好まれ、被害に遭いやすいです。
そして、家の柱や床などのおいしい部分を食べ尽くしたシロアリが次なる餌を求めて畳まで流れて来ます。
そのため、畳の被害が確認された時には床や柱など、幅広い範囲でシロアリの被害に遭っているケースが少なくありません。

シロアリ被害の点検場所

シロアリは被害に遭わないことが一番ですが、もし被害に遭ってしまった場合、できるだけ早く気づくことが重要です。
畳が被害に遭ってしまった場合、かなり侵食が進んでいることが多いです。
そのため、被害に遭っていないかどうか、定期的にチェックしておくことをおすすめします。

家の周囲をチェック

先にも述べた通り、シロアリは蟻道を通って住宅に侵入します。
そのため、まずは家の周辺にシロアリが移動するトンネルが掘られていないかをチェックしましょう。
蟻道がある場合、家の外に不自然に盛り上がった土の道があります。
これを見つけた場合は要注意。すぐに業者に点検してもらうことをおすすめします。

また、床下の換気がきちんとされているかも重要です。
換気扇が回っていることはもちろん、換気口が荷物などで塞がれていないかどうかもチェックしてください。
もし、換気口が塞がっていたり、ファンが回っていなかったりすると床下に湿気がたまり、シロアリの住みやすい環境となってしまいます。
その他、家の周辺に木材など、シロアリのエサになるものが置かれている場合は要注意。
シロアリを呼び寄せているようなものなので、処分するか、移動させるかしておきましょう。

屋根裏をチェック

シロアリは床下や柱など、下の方にいると思われがちですが、家の柱が木材でできている以上、それを伝って屋根や屋根裏に発生する可能性もあります。
また、場合によっては外壁を伝って屋根から侵入されるケースもあります。
屋根は雨を受け止める部分でもあるため、シロアリが好む多湿の環境になりやすい場所。
濡れて柔らかくなっている木材は大好物です。
そのため、床だけでなく屋根も被害に遭いやすことを覚えておきましょう。

床下をチェック

最後にシロアリといえばやっぱり床下です。
シロアリの侵入経路の大半は床下からになるため、チェックをする際は一番に確認しておきましょう。

最近の住宅であれば、キッチンやダイニングなどに設置されている床下収納こなどからチェックできるようになっていることが多いです。
床下収納がない場合は、畳1枚を剥がし、その下の床板を外すことでチェックが可能です。

シロアリ被害のチェックポイント

シロアリのチェック箇所が分かったら、下記項目をチェックしましょう。

上記を意識した上で、疑わしい部分がある場合は早めにシロアリ点検をお願いしましょう。
もし、シロアリがいなかったとしても、予防策を練ったり侵入を防ぐための事前作を打ったりできることは、後のシロアリ被害を軽減できます。

シロアリ被害に遭った畳の特徴


もし、畳がシロアリの被害に遭った場合でも、シロアリが見つかるまで気づかないという可能性があります。
そのため、特徴や見分け方について解説します。

たたみの表面がふかふかする

シロアリが畳の内部に侵食した場合、当然畳内部に空洞ができてしまいます。
そのため、上を歩くと畳が不自然に沈んだり浮き上がったりしてふかふかした感覚になります。
畳にいつもと違った感覚がある場合はシロアリの被害を疑いましょう。

畳の屑が不自然に落ちている

い草、和紙、樹脂などに関係なく、畳に破片が落ちている場合はシロアリが畳を食べたため、編まれている部分が抜け落ちてしまった可能性があります。
また、畳に触れた時に細かい屑が出てくる場合も同様です。
この場合はシロアリの被害を疑いましょう。

シロアリの被害を受けた場合の対処法


シロアリが被害を受けてしまった場合、畳、あるいは家全体の対処として取れるのは下記3ステップです。
順番も重要になりますので、1から順に進めていきましょう。

  1. まずは駆除業者に依頼する
  2. 家の専門家に住宅の被害を確認する
  3. 畳を張り替える

まずは駆除業者に依頼する

まず最初にしなければならないのはいち早くシロアリを退治すること。
見つけたらすぐに駆除業者を呼んで隅々まで駆除してもらいましょう。

「市販の薬を使って自分で対処する」
という方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合、完全に駆除しきれない可能性あります。
特に、畳までシロアリに侵入されている場合、床下や柱、水回りなど、どこまで被害が及んでいるかは素人では分かりにくいです。

せっかく気づいたのに対処が甘かったせいでさらに被害を拡大してしまうくらいなら駆除のプロに依頼をした方が確実。
まずは見積もりを取り、内容とアフターフォローなどについても確認しておきましょう。

家の専門家に住宅の被害を確認する

シロアリの駆除が終わったら次は住宅の被害状況を確認します。
床下の基礎や柱など、建物が大きな被害を受けていた場合はリフォーム業者などに依頼して修繕してもらう必要があります。
もしくは、シロアリ業者の中に住宅のリフォームもできる業者に依頼をすればすべてひとまとめに対応してもらえます。

いずれにしても、シロアリを駆除していたとしても柱や床の強度が落ちてしまった状態では、地震が起こった際に本来の強度を保てず家が倒壊してしまう危険性もあります。
安全に暮らすためにもプロにしっかりとチェックしてもらいしょう。

畳を張り替える

シロアリを駆除し、家の修繕ができたら畳を張り替えましょう。
シロアリに侵食された畳は直して使うことができないため、原則新調となります。
「被害にあった畳数枚を交換しよう」
と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、一見キレイに見えても内部にまだシロアリがいるかもしれません。

住宅のシロアリを駆除したのに畳から再度シロアリが侵入してしまう危険性を考えると、和室の畳はすべて処分することをおすすめします。
その上で、新しい畳に交換しましょう。

シロアリの被害を防ぐために


シロアリは侵入を許してしまうとかなり大きな被害になってしまいます。
そのため、まずは被害を受けないようにすることが重要です。
以下の項目をまずはチェックしましょう。

風通しと日当たりを確保

シロアリは湿度の高い場所を好むため、日当たりが良く、湿度が抑えられた家の湿度を抑え、風通りの良い環境を維持することが必要です。
また、日当たりの良い環境でも、家の周りに荷物を置くと影ができてしまいます。
自ら湿度の高い環境を作り出してしまっていないかを注意し、家の周囲を風通しの良い環境で保ちましょう。

シロアリのエサとなるものは置かない

木片や植木の破片など、シロアリのエサとなるものを無意識のうちに放置してしまっていることがあります。
特に木材はシロアリの好物のため、置いているだけでエサを撒いてしまっているようなもの。
家の周囲に無意識に置いてしまっている場合は早めに処分するか移動させることをお勧めします。
また、植木など、処分が難しいものの場合はきちんと手入れをし、剪定や枯葉や枝の処分をきちんと行うことをおすすめします。

畳がシロアリの被害に遭ったら川田畳製作所へ

畳がシロアリの被害に遭うというのは、北海道などの寒い地域を除くとそれほど珍しくありません。
特に、山の多い香川県はシロアリ被害の多い地域。
「うちは大丈夫」と油断していると思わぬ被害を被ってしまうかもしれません。

もし、畳がシロアリの被害を受けてしまった場合は、川田畳製作所にお問い合わせください。
畳に関するさまざまなご相談に乗らせていただきます。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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