川田畳製作所

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畳の色や畳縁の選び方。色や種類の特徴・失敗しない方法をご紹介

2023.05.23

近年、畳の素材はい草だけではなくなっています。
そのため、カラーバリエーションが大幅に増えており、フローリングの床材や壁のクロスを選ぶのと同じように、畳選びをする方が増えています。
特に、新築やリフォームで畳の部屋を考えている方にとってはどんな色の畳を敷くかは悩むポイントのひとつとなっています。

その大きな理由は部屋の相性や畳と縁の色の相性などがメイン。
畳は床材のように一度敷いてしまうと一生ものというわけではありませんが、10年程度は同じ畳を使い続けるのが一般的。
失敗してしまうとむこう10年は後悔しながら過ごすことになってしまいます。
失敗を防ぐためにも、畳の色や相性などをしっかりチェックして、お好みの部屋をコーディネートしちゃいましょう。

畳の色や種類、素材について


まず、畳の色を決める前に、どういった部分にこだわりたいかを決める必要があります。
色の違う畳はい草以外の材料を使用しているため「い草を使った黒い畳がほしい」という要望には対応ができません。

決めるべきポイントは大きく分けると下記の3点。

これに予算はどれくらいを考えているかなども含めて検討が必要となってきます。

い草


昔ながらの、ホンモノの畳にこだわりたい場合、材料はい草一択です。
この場合、い草の染色はできないため、敷いた時は淡い緑色、その後少しずつ小麦色に変色していく、いわゆる普通の畳になります。
い草の畳は味わい深く、畳ならではの香りを楽しめるため、純和風の部屋に敷くのであれば樹脂系よりもい草を使った畳の方がおすすめです。
ただし、畳の部屋で生活する場合、カーペットを敷く、寝床を敷くなど、湿気が溜まりやすい状況を作るとカビやダニが発生しやすくなるためメンテナンスには十分気を配る必要があります。

樹脂系


樹脂系の畳はい草に変わる素材として近年人気を博している畳の素材。
い草に似たストロー状の樹脂を編んで畳にしたものや、和紙をこよりのようにした上で樹脂でコーティングしたものなど、メーカーによって使用するものはさまざまですが、「歩いた時の弾力がい草に近い」状態を維持しつつ、樹脂コーティングによる強度アップやカビ・ダニの発生率の激減、場合によっては飲み物をこぼしても簡単に拭き取れる撥水加工がついたものもあり、い草に比べてメンテナンスが大幅に楽になっています。
その上、い草のような変色がないため、新調した畳に似せた淡いグリーンの素材を使えば、その色のまま使い続けることが可能です。

メリットが多い樹脂系畳ですが、価格はい草の畳よりやや高めです。
また、植物ではないため畳のような香りはありません。
そのため、畳というよりは床材を選んでいるような気持ちになるかもしれません。

畳の色の選び方


樹脂系の畳を選んだ場合、畳の色をかなり自由に選ぶことができます。
畳の色として最もスタンダードなのは淡い緑色ですが、リビングをはじめとする洋室の雰囲気と合わせたい場合、青や黒など、モダンなカラーの畳を選ぶ方もいらっしゃいます。

先にも述べた通り、畳を選ぶというよりは床材を選ぶような感覚なので「畳は緑じゃないとおかしい」といった固定概念は捨てて、青い畳や白い畳を合わせた方が空間が自分の好みになるのであれば、そちらの色をチョイスしましょう。

畳の市松模様について


最近では、畳に縁をつけない方も多くいらっしゃいます。
縁なしの畳は洋風の空間にもよく合うほか、部屋を広く見せてくれる視覚効果もあります。
畳の境目が傷つきやすく、耐久性はやや落ちるものの、空間の見せ方という意味では縁なしの方がオシャレに見せることが可能です。

そして、縁なしの畳を使う場合、畳半畳分を1枚とすると正方形になるため、隣り合う畳の色と互い違いにすることで市松模様の空間を作ることができます。
畳の色を交互に配置するだけでなく、同じ色の畳も目の向きを縦横を変えることで色合いが変わり、市松模様に見えます。
反対に、色を変えたくない場合は畳の向きを揃えると一色の同じ色になります。

畳縁種類、素材について


畳の色が決まったら、畳縁を選んでいきます。
畳縁の価格帯は安価なものから高級なものまでさまざまです。
そのほとんどが材料によって決まるので、畳縁の価格を決めるのと、素材を選ぶのはほぼ同じことと言えます。
下記からそれぞれの特徴を含めて考えていきましょう。

麻・綿

麻・綿を使った畳縁は、昔ながらの素材。
化学繊維の素材が出てくるまでは一般的に使われていた素材です。

麻縁に比べて綿縁の方が一般的で、綿糸の糊付け、毛羽取り、蝋引き、ブラッシングといった加工を経ることで強度を上げていきます。
綿縁にこだわりつつ価格を抑えたい場合、中国産のものを使用することもあります。

麻縁は畳縁の中でも特に高級なもので、綿に比べて数倍の価格になります。
特に、藍染めした麻糸を使用した縁は「高宮縁(たかみやべり)」とも呼ばれる高級品で、上品な茶室などに使われることもあります。

化学繊維

ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどを使用した畳縁は価格が安価で耐久性もあるため、最近の主流となっています。
色のバリエーションが豊富な上、デザインの自由度も高く「わんにゃんスマイル畳に合わせた猫の足跡のデザイン」や「アニメのキャラクターが入った子供部屋におすすめの畳縁」など、幅広い種類が用意されています。
また、子供部屋や客間など、出入りの多い部屋にとっては強度の高い化学繊維の畳縁は特におすすめです。

縁なし

畳に縁を付けないというのももちろん選択肢のひとつ。
半畳サイズの縁なし畳は置き畳、リビング畳とも言われます。琉球畳と呼ぶ方もいらっしゃいますが、琉球畳は「七島藺」というい草を使用したものの名称となるため、それ以外は琉球畳ではありません。

また、「畳縁って必要なの?」という質問をよくいただきますが、あるのとないのとでは畳の耐久性が変わってきます。
畳縁は畳と畳の間を補強し、角の部分が痛まないようにする役割を持っているので、ない場合はある場合に比べて痛みやすくなります。
その分、畳縁がないだけで空間がおしゃれで広く見えるようになる場合も多いため、周囲のイメージとも合わせてチョイスしましょう。

畳縁の色

畳縁のもともとの役割は、単純に耐久性を上げるためだけではなく、色によって身分の違いを表す役割がありました。
しかし、現代では身分制度はなく、それぞれが自分の好みに合ったものを使用しています。
実際にどんな色の畳縁があるのかをまとめましたので参考にしてください。

緑系

畳縁の中でも最もお馴染みの色といえば緑ではないでしょうか。
緑は自然を連想させる色であり、リラックス効果癒しの効果を持っています。
また、新調したい草の畳は淡い緑色をしているため色の相性も良く、調和の取れた空間になります。

和室や床の間など、い草の畳を敷くような空間をイメージしている場合は緑色の畳縁がおすすめです。

青系

緑の畳縁と並んでよく選ばれるのが青色です。
緑と青は同じ寒色系で相性が良い他、清潔で涼しいイメージです。
い草の淡い緑とも相性が良く、凛としたイメージの空間にしたい場合はおすすめ。

青色には集中力を高める効果があるので、仕事部屋や応接間などにもおすすめです

赤系

赤い畳縁を見かける機会はあまり多くないかもしれませんが、畳は色褪せてくると緑から小麦色へとへんかするため、寒色系から暖色系に変わります。
赤は暖色系なので、色褪せた後の相性は非常に良くなります。
また、赤は情熱の色とも言われ、行動や活力の源とも言われます。
お部屋の雰囲気を明るくしてくれることから、子供部屋などにもおすすめです。

ピンク系

ピンクと言ってもあくまでもピンク系で、ビビットカラーのピンクの畳縁が選ばれることはまずありません。
ピンクは茶色と相性が良く、小麦色になったい草の畳や、茶色系の樹脂系畳をチョイスした際には畳縁をピンクにするとモダンなイメージになります
愛情や幸福を象徴する色としても用いられ、心を和ませ、優しい気持ちにしてくれる色とも言われています。

オレンジ系

オレンジやイエローは別名ビタミンカラーとも呼ばれており、エレルギーをもらえる色のひとつ。
ピンクと同様、ビビットカラーの黄色やピンクは畳には使いにくいですが、ゴールドの刺繍糸はオレンジやイエローに近いため、一般的な畳でも思っているほど見慣れないカラーになることは少ないです。
い草の畳の変色後のカラーと相性が良く、空間を明るい雰囲気にしてくれることから人が集まる部屋におすすめです。

畳縁の選び方


畳縁のカラーについては、い草を中心にご説明しましたが、樹脂系の畳に畳縁を付ける場合も考え方は変わりません。
また、畳との相性以外にも部屋のクロスやインテリア、色調などとも合わせて選ぶ必要があります。
特に、リビングをはじめとする洋室の一角に併設させる場合、そこだけ和風だと浮いてしまう可能性があるので注意が必要です。

部屋の雰囲気に合わせる

畳縁を部屋の雰囲気に合わせて選ぶ場合、例えば襖の柄やインテリアなどの中でも特に目立つ色に合わせて選ぶと統一感が出ます。
洋室と併設させる場合は縁なしの畳を選んだり、集中力を高めたい場所には青色の畳や畳縁を使ったり、目的や用途とも合わせながら決めていくと後々の生活にも暮らしやすさが出てきます。

畳選びの失敗談

畳を選ぶ際によくある失敗談は「イメージと違った雰囲気になってしまった」というものです。
「畳の色の相性を気にして畳と畳縁のデザインを決めたけれど、部屋の雰囲気とまったく合っていないため畳ばかりが悪目立ちしてしまう」
といったことが起きる可能性ももちろんあります。

特に、畳縁は畳表に比べて色が濃い場合が多く、色の薄い畳の端でしっかりと主張するケースが多いため、色のチョイスを間違うと部屋の中で占めている面積は少ないのに、そこばかりに目がいってしまうということも起こります。
そのため、好みの色にばかり目を向けすぎるのではなく、全体のバランスもある程度考慮して色をチョイスしましょう。

畳の色をプロがアドバイス

いかがでしたか?
畳や畳縁の色を選ぶ際には、好みの色ばかりを重視するのではなく、周囲との調和も考えながら決めていきましょう。
とは言え、どの色が合ってどの色は合わないのかの区別はなかなかつきにくいもの。
「色々悩んだ結果、違う色の方が好みだったのに失敗しないように無難なカラーを選んでしまった」
とならないためにも、まずは一度ご相談ください。
これまでの経験や実例なども考慮しながら、色の相性やお部屋の雰囲気との調和なども含めてアドバイスを致します。

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●このブログは私が書きました

川田 敦

一級畳制作技能士 川田 敦

畳職人として22年。
祖父の代から続く畳店で育ち、幼少期から畳がそばにある生活を送ってきました。28歳で畳店を継ぐことを決意。一級畳制作技能士の資格持ち、玉藻公園披雲閣など、文化財の畳工事から、一般住宅や賃貸住宅の畳工事まで幅広い仕事の経験を持っています。

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